車には数百万かけるのに、家にはかけない謎。長きにわたって住む「家」にテラスを設けるといい理由

AI要約

マイホームを建てる際に後悔を避けるためには、間違った常識に惑わされずに自分のライフスタイルに合った工夫をすることが重要だ。

テラスの付け方や利用方法を考えることで、屋外空間を存分に楽しむことができる。

テラスは室内とつながることで建築費を抑えつつ、豊かなライフスタイルを実現できる。

車には数百万かけるのに、家にはかけない謎。長きにわたって住む「家」にテラスを設けるといい理由

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人生でいちばん高価な買い物、マイホームをせっかく建てたのに、「こんなはずじゃなかった」と後悔する人があまりに多いのはなぜなのか? 

気鋭の建築家・内山里江氏は言います。

「日本人が家づくりに失敗する最大の理由は、たとえば『家は南向きじゃなきゃダメ』とか『窓は大きいほうがいい』といった『間違った常識』によるものです。私は本書でそうした間違った常識をすべてひっくり返します」

内山氏の最新刊『家は南向きじゃなくていい』から、間違いだらけの家づくりをしないための方法を連載形式でお届けします。

前編記事<たった3畳で「生活の質」がうなぎ上り!  マイホーム難民勢の目を覚ます「半屋外のテラス」を猛プッシュ>

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 最初から「ぜひテラスを付けてほしい」とリクエストされることもよくあります。遊ぶのが好きで、アウトドアも好きではあるもののあまり本格的なものはちょっと……という人とテラスの相性はよいです。外に行かなくても室内と地続きで快適に外遊びができるからです。

 また、海外暮らしの経験が長い人や、リゾートホテルのような雰囲気の家がお好きな人も、テラスを希望することが多いです。「テラスがないなんて家じゃない」「テラスをつくれないなら家なんて建てない」くらいの熱い思いをお持ちのかたも意外と少なくありません。

 ソファセットとグリルセットを置く人が多いのですが、ソファセットも2人掛けのものから6人掛け程度と、サイズには幅があります。用途と敷地面積に応じてミニマムで3畳程度からつくれますが、大人4~6人がゆったりできるだけのスペースを考えると8畳くらいが理想です。ときには20畳程度のラグジュアリーな空間をつくることもあります。

 下に敷くラグも含め、ソファは6人掛けのサイズで50万円程度です。このような屋外用のソファなどは耐水性、耐光性に優れており、最低でも10年程度は問題ない耐久性があります。毎日使っていれば汚れはあまり気になりません。使用間隔があいた場合は使う際にホースで水をジャーッとかけるだけで綺麗になります(ただし、乾くのに少し時間がかかりますので、来客がある際は前日のうちにすませておくことをおすすめします)。

 ちなみに、屋外用のファニチャーで有名なブランドによるものは6人掛けソファセットで数百万円かかるため、一般の人の手には届きにくいものでした。現在は別メーカーから一般向けのものがリーズナブルな価格で登場しており、テラス生活が現実的になっています。

 「夏しか使えないのでは?」と思うかもしれませんが、可動式パーテーションを付けたり屋外用のヒーターを取り付けたりすれば冬でも問題なく楽しめます。また、グリルセットはバーベキューだけでなく鍋ものやすき焼きにも使え、室内では躊躇しそうな汚れやにおいが気になる料理も一年中気軽に楽しめます。

 実は、テラスをつくること自体にはそんなにお金はかかりません。

 なぜなら、テラス部分は室内からの地続きですので、室内にするはずだった部分をテラスにしているという意味で建築費が相殺されるからです。

 もちろんソファセットなどの備品代は必要になりますが、10年乗り続けることも少ない車に300万円、あるいは500万円くらいかける人はざらにいることを考えると、そんなに不自然なことではないのではないでしょうか。

 長きにわたっての居場所となる「家」を、より価値のある場所とするためのお金は決して無駄にはならないからです。