成田空港で働く若手従業員のeスポーツ大会、6月開催へ 交流から「より良い空港運営を」

AI要約

成田国際空港会社が若手従業員の交流促進策としてeスポーツ大会を開催する。16社の代表者からなる企画検討委員会がゲームや解説者の選定に取り組んでいる。

取り組みの背景には成田空港の人手不足があり、若手の離職防止も考慮されている。NAAは交流の機会を通じて空港で働く意義を再確認し、空港運営の向上を図る目的としている。

従業員同士の交流が減少している現状に対し、NAAがeスポーツ大会を計画。若手従業員たちが企画に参加し、交流を深めることで空港全体の雰囲気向上を図る取り組みとしている。

成田空港で働く若手従業員のeスポーツ大会、6月開催へ 交流から「より良い空港運営を」

成田空港で働く若手従業員の交流促進策として、成田国際空港会社(NAA、千葉県成田市)が、eスポーツ大会を6月7日に開催する。これに先立ち、貨物会社や航空会社など大会に参加する16社の代表者からなる企画検討委員会が発足し、ゲームや解説者の選定などについて議論を重ねている。普段は顔を合わせることのない従業員が一堂に会して交流する機会を設けることで、空港で働くことの意義を再確認してもらい、より良い空港運営につなげる狙いがある。

■「仲間」で意見交換

5月8日、成田空港内の一室に22~34歳の男女16人が集まった。職種は違えど、いずれも成田空港で汗を流す「仲間」たちだ。初対面でも社会人おなじみの名刺交換はなく、すぐに打ち解け、大会の概要について意見を交わした。

2回目の会議では、調理室で役割分担して料理を提供する「オーバークック2」や、爆弾でライバルを倒して勝ち残る「ボンバーマン」などさまざまなゲームを実際に体験。「ルールがわかりやすくて観客も一緒に盛り上がれる」「選手同士のコミュニケーションも活発になる」といった理由から、サッカーゲーム「FC24」を大会で使用するゲームとして選んだ。

■背景に人手不足

取り組みの背景にあるのが人手不足だ。成田空港では世界各国から増便や新規就航の要望が相次いでおり、受け入れ態勢の強化が喫緊の課題となっている。空港内に拠点を置く事業者の従業員は、昨年2月1日時点で3万6315人。滑走路の新設などによる利用客の増加で今後約7万人の従業員が必要になるとされ、若手の離職防止に向けた取り組みも欠かせない。

「新型コロナウイルス禍をきっかけに、従業員同士の交流が非常に減ってしまっている」。NAAの宮下祥さん(37)はこう嘆く。若手の意識も変わり、かつてのような「飲みニケーション」は通用せず、接し方に頭を悩ませている管理職が少なくないという。

■交流の広がり期待

そこで、NAAがeスポーツ大会を計画。各企業の若手従業員たちが当事者となって、大会の概要を決める形にした。宮下さんは「空港は人によって支えられている場所で、若い世代が今後の空港運営の中心になる。ほかの企業との交流を深めることは、空港のより良い運営にもつながる」と力を込める。

委員らも期待を膨らませている。空港内の施設案内などを担当する空港ターミナルサービスの及川侑里さん(30)は「飲み会は敷居が高いと感じるが、ゲームは交流を深める良いツールになり、職場での働きやすさにもつながる」、貨物・手荷物運搬などを手掛ける日本空港サービスの小高里奈さん(25)は「ゲームで一緒のチームでプレーすることで、初めて会う人でもラフな感じで楽しく話すことができる。大会をきっかけに従業員同士の交流が増え、成田空港全体の雰囲気が良くなればいい」と顔をほころばせた。(松崎翼)