40代で若年認知症に、生活一変「仕事続けたい」 交流+労働で居場所づくりも

AI要約

若年性認知症の患者が社会から孤立しやすい状況や経済的打撃について述べられている。

施行された認知症基本法に基づき、若年性認知症患者の支援施設不足や家族への負担、患者の働きたい意欲など現状が紹介されている。

若年性認知症患者やその家族の不安や支援の必要性が示されている。

40代で若年認知症に、生活一変「仕事続けたい」 交流+労働で居場所づくりも

今年施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」に基づき、21日は認知症への理解を深めようと定められた「認知症の日」。認知症の中でも、65歳未満で発症する「若年性認知症」は、発症が若ければ若いほど経済的打撃が大きく、患者同士の交流機会が乏しいため社会から孤立しやすいという。離職や離婚で生活が一変する人も少なくない。「仕事を続けたい」という当事者の思いをくみ、働くことができる居場所づくりを模索する動きも少しずつ出てきている。

■受け入れ施設なく…

大阪府の40代男性は47歳で認知症と診断された。教育機関で教鞭(きょうべん)をとっていたが、授業中に教室を出てしまったり、使い慣れたパソコンの操作を忘れたりするなどし、異変に気付いた周囲に受診を勧められた。

休職するしかなく、妻には離婚を告げられた。小学生の2人の子供とは1年以上会えていない。病気発覚の前年にローンを組み購入したマイホームを手放し、男性は実家へ戻った。

男性の妹(46)によると、現在は70代の両親が男性を支えるが、「献身的に世話をしている父だが、現実を受け止めきれず、つらく当たることもある。母も仕事と兄の世話で疲れ切っている」。

男性の運動不足解消と両親の負担軽減のため、通所施設を探したが、若年性認知症患者の受け入れ実績がある施設に巡り会えず、今は高齢の利用者がリハビリを行うデイケア施設に通う。妹は「将来高齢の両親と兄のトリプル介護も待ち受けている。自分も仕事をしながら両立できるのか…」と不安をのぞかせる。

男性は言葉に詰まったりする一方、在職中の話になると仕事でよく使った英語を流暢(りゅうちょう)に話せたりもする。「学生への講義は本当に楽しくてやりがいがあった。また教壇に立ちたい」と願う。

子供の養育費や妻への財産分与もしなければならず、金銭的な心配も募る。妹は「同じ仕事は無理でも、兄が得意なことを生かして働ける居場所がほしい」という。

■働き盛りで失職73%