「就活やバイトにも困らない」 大学の「都心移転」で勉強だけでない変化が

AI要約

大学のキャンパスを郊外から都心に移転する動きが加速している。これにより学生の生活環境が変化し、交通の利便性や学びの環境が向上している。

具体的には、中央大学法学部が茗荷谷キャンパスに移転し、教育環境が充実。外部講師の授業や裁判所訪問など、実務経験を活かした学びが増えている。

学生たちにとって都市部へのキャンパス移転は、専門家との交流機会が増えるなどメリットがあり、大学側にも志願者獲得の利点がある。

「就活やバイトにも困らない」 大学の「都心移転」で勉強だけでない変化が

ここ数年、大学のキャンパスを郊外から都心に移転する動きが目立っています。こうしたキャンパス移転は、学生の日常生活に変化をもたらします。「郊外より都心のほうが交通の便がいい」「課外活動や就職活動にも便利」など、都市部にキャンパスを移転するメリットはいろいろと見てとることができます。実際のところはどうなのか、キャンパスが都心に移転した中央大学の学生に聞きました。

郊外から都市部にキャンパスを移転したり、都市部に新設したりする大学が増えています。例えば、関東学院大学は2023年、横浜市中心部に横浜・関内キャンパスを新設しました。東洋大学は24年4月、板倉キャンパス(群馬県板倉町)にあった生命科学部と食環境科学部を、朝霞キャンパス(埼玉県朝霞市)に移転しました。板倉キャンパスの最寄り駅から都心の池袋駅までは電車で1時間20分ほどかかっていたのが、朝霞駅から池袋駅まで17分にぐっと短縮され、都心に気軽に行けるようになったことで、「交通費もさほどかからないので、行動範囲が広がった」といった声もあがっています。

中央大学法学部も23年4月、多摩キャンパス(東京都八王子市)から茗荷谷キャンパス(東京都文京区)に移転しました。法学部を含む文系4学部が都心の駿河台から八王子に移転したのは1978年なので、親世代にとって中央大学といえば、緑に囲まれた郊外型のキャンパスという印象が強いかもしれません。現在、法学部があるのは、地下2階、地上8階建ての最新設備が整ったキャンパスで、法律学科、国際企業関係法学科、政治学科の学部生と法学研究科(修士・博士課程)の大学院生の約6000人が多摩キャンパスから大移動し、学んでいます。

中央大学入学センター事務部入学企画課の永田洋一さんは、「茗荷谷キャンパスには、法学部生に必要な学びの環境が整っている」と言います。

「授業の中で、現役の弁護士から最新のリアルな判例について解説してもらえるなど、学生にとってはこれまで以上に学びの環境が整いました。外部講師による授業回数は、2022年の多摩キャンパスで46件だったのが、23年の茗荷谷キャンパスでは66件に増えました。茗荷谷キャンパスからほど近い裁判所を訪れて、民事・刑事裁判を傍聴したり、国会議事堂や弁護士事務所などで学んだりする機会も増えています」

このように都市部へのキャンパス移転は、都内で活躍している専門家などを授業に招きやすくなるなどのメリットがあります。大学にとっては、少子化が進むなかでも志願者を獲得しやすくなる面があります。

では、学生たちには都市部へのキャンパス移転は、どのように映っているのでしょうか。中央大学法学部3年の山下知大さんは、1年次を多摩キャンパスで過ごし、2年次からは移転した茗荷谷キャンパスで過ごしています。学生生活の変化を聞きました。