”ガチ中華”を論じる人に抜け落ちている視点…日本人が食べている本格中華は”氷山の一角”だった

AI要約

「ガチ中華」の増加に伴い、日本での中華料理の評価が注目されている。

食の好みは変化する可能性があり、食べ慣れることで美味しさが変わることもある。

中華料理は多様で、一括りにすることが難しい。

”ガチ中華”を論じる人に抜け落ちている視点…日本人が食べている本格中華は”氷山の一角”だった

最近、よく見聞きするようになった「ガチ中華」なる言葉。日本流にアレンジしない中華料理店が増えたのは、中国人にとって日本での商売が“格安”になったこと、在日中国人の需要が高まったことなどが理由に考えられるが、巷では「美味しいのか、美味しくないのか、どこの“ガチ中華”が美味しいか」など、ガチ中華を評価する光景を見るようになった。

前編『日本人が論じる「ガチ中華」は違和感だらけ…「ちょっと待て!」と言いたくなる理由』で見たように、日本人が食べて評価している「ガチ中華」とされる中華料理の多くは、特定の地域の料理で、それをあたかも中華料理全体から選んだかのように話すのは、違和感がある。

さらに言うと、グルメ評をする場合、「美味しい・美味しくない」以外に、もうひとつ別の回答で「食べ慣れたら美味しい」というものが、特に中華料理の場合だとあることだ。

過去70カ国を旅した後、この6年間で中国を含めたアジア各国の食を楽しんできた中で、最初は「どうってことないな」とか「そんなに美味しいかな」思っていたものが、現在では大好物になったものが多々ある。

ときに「ガチ中華」レビューで「これは日本人の舌には合わない」としたものがあったが、海外の人から見た日本食でも同じような話がある。

友人のあるオーストラリア人男性は来日16年目になる。彼は最初の3~4年は箸も使えず、「日本食は苦手。米も好きじゃない」と言って、刺身や納豆は「匂いだけで吐き気がする」と、日本食に苦手意識を持っていた。

しかし、16年経ち、今では「一番好きな日本食は納豆!」と断言するようになり、以前は毎週食べていたファストフードのハンバーガーも「あんなもの一生いらない。それよりネギトロにわさび醤油が最高」なんて言っている。

人の好みは必ず変化するから、この「食べ慣れる」要素を無視して「○○という料理は美味しくない、日本人には合わない」と言うと、かなり幅の狭い話になってしまい、食の楽しみを半減させることになる。

最初はぴんと来なくても、あとで好物になる可能性は残しておきたい。

その前提で伝えたい「ガチ中華」だが、これを分かりやすく説明するのは非常に困難だ。なにしろ巨大文化である中華料理は一括りにすることができず、調理法に一定数の共通項はあっても、主要な流派が広東、四川、山東、福建、江蘇、浙江、湖南、安徽の八大料理に分かれる。そこからさらに枝分かれすることだってある。

本土で中華料理の店を12店舗を持ち、マレーシアにも出店したばかりの翰林(リン・ハン)さんによると「中国人でも、『今日は〇〇料理に行こう』とか、あまりカテゴリーに分けて言わない」という。