おじいちゃん猫の穏やかさや愛らしさに癒される! 猫と飼い主の絆を描いた『じじ猫くらし』【書評】

AI要約

12歳のおじいちゃん猫とその飼い主の触れ合いを描く、心温まるコミックエッセイ『じじ猫くらし』。猫との穏やかな時間や愛情が丁寧に描かれ、読者の心を癒す作品。

作者の深い愛情が猫の肉球や毛並み、仕草に表れ、猫好きの心を掴む。愛おしい猫のリアルな表情や作者の想像力にも注目。

本作は猫との生活を通じて心の豊かさを再認識させ、日常の幸せの価値を示す。幸せな日常やユーモアが読者に心地よい時間を提供する。

おじいちゃん猫の穏やかさや愛らしさに癒される! 猫と飼い主の絆を描いた『じじ猫くらし』【書評】

 12歳のおじいちゃん猫とその飼い主の触れ合いを描く、心温まるコミックエッセイ『じじ猫くらし』(ふじひと / KADOKAWA)。猫と暮らすことの喜びや、ささやかな出来事の尊さが、優しい筆致で描かれている。年老いた猫ならではの穏やかさや愛らしさに癒されるだろう。

 いつも飼い主の帰宅をお出迎えする猫、ベランダで日向ぼっこをする猫、飼い主に寄り添って眠る猫など、猫と過ごす穏やかな時間が本作では丁寧に綴られる。また、猫の肉球の柔らかさ、毛並みの温かさ、寝起きの顔、水を飲む姿など、あらゆる瞬間を見つめ、寵愛している作者。なんとも深い愛情を感じて心がほっこりと温かくなる。猫の行動や仕草のひとつひとつが、作者にとってかけがえのないものであると言葉や絵から伝わってくるようで愛おしい。

 そして、ほのぼのとした作風の中に時折、アクセントのように織り込まれる「じじ猫」のリアルな表情もまた、猫好きの心をグッと掴むことだろう。猫の表情から、その時の気持ちや考えていることを想像する作者の姿も印象的である。同じ「猫飼い」の読者にとっては「あるある」とシンパシーを感じ、作品をより身近に感じるのではないだろうか。

 本作は猫との生活の素晴らしさはもちろんだが、動物との触れ合いがもたらす心の豊かさを再認識させてくれる。そして何気ない日常の中にこそ、かけがえのない幸せが存在することを噛み締めずにはいられない。物語の中で「じじ猫」と飼い主の絆が描かれることで、読者は自らのペットとの関係を振り返り、新たな気づきを得ることもあるだろう。

 特別な出来事がなくても、猫との日常には幸せが溢れており、その瞬間瞬間を大切にすることの重要性を教えてくれる本作。そこには温かみと、思わず笑みがこぼれてしまうようなユーモアが満ちており、読者にとって心地よい時間を提供してくれるに違いない。

文=ネゴト / ニャム