芸能人の間でも注目の「GLP-1ダイエット」、医師が解説する「やせるメカニズム」とリスク、問題点

AI要約

GLP-1ダイエットは運動や食事制限なしで効果的な痩身法として注目されている。内科医やモデル、芸能人などが実践しており、効果の高さが話題になっている。

GLP-1は血糖値を下げる作用や満腹感を促す効果があり、体脂肪をつきにくくし、食欲を抑制する。注射や経口タイプがあり、最新の皮下注射薬「マンジャロ」が人気を集めている。

GLP-1ダイエットは個々に合わせた薬を処方することで、無理なく効果的な痩身が可能となっている。

芸能人の間でも注目の「GLP-1ダイエット」、医師が解説する「やせるメカニズム」とリスク、問題点

「これはさすがに効きすぎ」「最後の手段だ」──これまでに数え切れないほどのダイエット法が時代ごとに流行してきたが、いま、人気を見せているのが、「運動なし」「食事制限なし」の痩身術だ。常に美しさを求められる女優たちの間では、すでに実践者が少なくないようだが、その「やせるメカニズム」とリスク、問題点とは? 医師たちに取材した。

芸能人たちがこぞって使っているとされる“ホルモン注射”とは、正式には「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる糖尿病治療薬の注射だ。美容クリニックでは「GLP-1ダイエット」などの名称でメニューに掲げていることが多い。

「ダイエット先進国のアメリカで急速に普及している」と話すのは、米ボストンから「GLP-1ダイエット」のカウンセリングを行う内科医の大西睦子さん。

「アメリカでは実業家のイーロン・マスク氏(53才)や人気女性司会者のオプラ・ウィンフリーさん(70才)らがGLP-1の使用を公表しています」(大西さん)

ファッション誌にも頻繁に登場するモデルのAさん(40才・東京都在住)は、GLP-1ダイエットで「運動なしで2か月半で6kgやせた」と明かす。

「夏は体のラインが出る服の撮影が続くので、毎年体を絞るのに苦労していました。今年は友人のすすめでこの注射を処方してもらったら、打った数日後から自然に食欲がなくなり、1人前の食事が食べられなくなった。それでも満足感は充分にあるんです。

おやつなんてもってのほかで、午後3時に友人とのつきあいでケーキを食べたら、夕飯が全然食べられなくなる。“ちょっとやせすぎたかも”と思うほど効果抜群でした」(モデルAさん)

なぜこれほどの効果があるのか。東京・銀座にあるGクリニック院長の三島雅辰さんが、そのメカニズムを説明する。

「GLP-1は消化管ホルモンの一種で、すい臓に作用して血糖値を下げるインスリンの分泌を促進します。また、腸管からの糖の吸収を妨げる働きもあるため、体脂肪をつきにくくします。さらには、胃腸や脳にも働きかけて満腹感を感じさせ、食欲を抑制する作用があるので、大きなダイエット効果が生まれます」(三島さん)

GLP-1には注射タイプ以外に、経口タイプもある。経口タイプには「リベルサス」、注射タイプには「オゼンピック」「ビクトーザ」(別名サクセンダ)など、数種類の薬が存在する。

「なかでも芸能人の間で人気なのが、昨年4月に販売が始まった最新の『マンジャロ』という皮下注射タイプの薬。週に1回、好きなときに自分で注射するだけで効果があるので、忙しくて生活が不規則になりがちな彼らにはうってつけなのでしょう」(芸能関係者)

自由診療のため費用はクリニックによってまちまちだが、「マンジャロ」の場合、有効成分が2.5mmのタイプで1か月2万円ほどだという。

「自分で注射するのが苦手という人は、経口タイプのリベルサスを1日1回服用するなど、最終的には個人に合わせた薬を処方することになります」(前出・大西さん)

ダイエットにおける最大の壁である空腹感を感じずに、10kgやせも叶う“魔法のクスリ”となれば、チャレンジしたいと思う人も少なくないだろう。