自宅に「生卵」を投げ込まれ…犯人は近所の高齢者だった 引越し代は請求できるのか?

AI要約

近隣住民が家に生卵を投げつける行為について弁護士の見解を紹介。

生卵投げつけは迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反の可能性あり。

建造物損壊罪の成立には卵の量が影響し、証拠が重要。

自宅に「生卵」を投げ込まれ…犯人は近所の高齢者だった 引越し代は請求できるのか?

家に生卵を投げ込まれましたーー。

そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は数年前、家に生卵を2回ほど投げ込まれました。敷地に割れた卵が転がる光景に恐怖を覚え、すぐに警察に相談したそうです。

その後、自宅前に住む高齢者が生卵を投げ入れていたことが分かり、「しっかりと賠償、謝罪をしてほしい」と考えています。

理由は明確ではないものの、家の外で子どもを叱った際にうるさがられた可能性があるといいます。

このほかにも、ベランダやドアの前で生卵が割れていたという相談が寄せられています。

このように生卵を他人の家に投げつける行為はどのような罪に問われるのでしょうか?

また、近隣住民に生卵を投げつけられたことで引っ越しを決めた場合、引っ越し代金を相手に請求することはできるのでしょうか? もしくは、相手に引っ越しを求めることはできるのでしょうか?

坂口靖弁護士に聞きました。

生卵を家に投げつける行為については、各都道府県に設けられているいわゆる迷惑防止条例違反の罪に問われる可能性があるように考えられます。

この点、例えば東京都では、条例5条の2第1項第3号「著しく粗野又は乱暴な言動をすること」等に該当すると評価され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金とされる可能性があるように思われます。

また、軽犯罪法第1条11号「相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者」として、軽犯罪法違反の罪に問われる可能性もあるように思われ、拘留又は科料の刑罰を受ける可能性もあるように考えられます。

他方で、建造物損壊罪(刑法260条)に該当する余地もあるようにも思われますが、「損壊」があったと評価されるためには、一度に投げつけられる卵の量が極めて多く、容易には原状回復が困難であると言えるような場合でない限りは、建造物を損壊した(建造物の効用を害した)とは評価できず、同罪は成立しないものと考えられます。

本件のように2回卵が投げ入れられたのみということであれば、その1回の卵の量にもよりますが、同罪の成立は認められないように思われます。

なお、最近の類似事例では、1回に20個ほどの卵を4年間にわたって投げつけた事件では、建造物損壊罪での起訴がなされたようです。