止まないベビーカー体当たり被害「事故に遭ったという感覚」 子育て中の女性、実際の対処法とは?

AI要約

ベビーカーを押すママや通行する女性が、見知らぬ男性から体当たりされるトラブルが相次いでいる。

移動中に様々な注意を払う子育て女性たちの実情や対応策について明かされている。

育児環境の違いに悩む海外出身の母親や、駅でのトラブル発生時の対処法についても触れられている。

止まないベビーカー体当たり被害「事故に遭ったという感覚」 子育て中の女性、実際の対処法とは?

 駅の周辺施設でベビーカーを押すママや通行している女性が、見知らぬ男性から体当たりされるトラブルが近年、相次いでいる。SNSではこうした“ぶつかり男”の被害報告が多発。危害が及びかねない不可解な言動に不安が広がっている。ベビーカーを使用しての電車やバスでの移動は依然として肩身が狭いのが現状であり、子育て中の女性は移動中にさまざまな注意を払っている。実情や本音を聞くと、深刻な状況が改めて浮き彫りになった。

 今年8月、元日本テレビアナウンサーで現在はフリーの宮崎宣子がJR品川駅で、子どもを乗せたベビーカーに男性から2度にわたって足をぶつけられるトラブルに見舞われたことを自身のインスタグラムで報告。また、昨年には、JR恵比寿駅付近で、見知らぬ男性によるベビーカーへの体当たりについて母親の女性がSNSを通して訴え、警察が対応したことが話題を集めた。

 ベビーカーが狙われる理不尽な現象について、子育て女性の当事者はどう思っているのか。

 人の往来が多い東京・渋谷の恵比寿駅と、複合施設・恵比寿ガーデンプレイスを結ぶ動く通路「恵比寿スカイウォーク」。8月下旬の日中、買い物などのためベビーカーで赤ちゃんを連れる母親の姿が見受けられた。

 生後5か月の男の子をベビーカーに乗せて移動する30代女性は「危険な人が近くにいると感じた場合は、近付かないようにしています。第一に子どもの安全が最優先です。そのような場合には、事故に遭ったという感覚を持って証拠として写真を撮ることもあります」と、自己防衛策について明かした。

 そのうえで、「周囲に『写真を撮ってください』と声をかけることも重要になると思います。人が多い場所に行くということにはメリットもデメリットもあると感じています」。冷静な対応を心がけることについて話した。また、“ぶつかり男”だけでなく、「抱っこひものバックルを外してくるという人も聞いたことがあります」と、声を潜めた。

 バス利用の際の困り事にも言及。乗り降りがよりスムーズになるよう、「バスの入口がもう少し広いとありがたいです」と改善点を訴えた。

 東急バスは公式サイトで「ベビーカー乗車方法についてのお願い」を掲載し、乗車前に乗務員に「ベビーカーで乗車します」と伝えることで、前扉から乗車できることを紹介。「ベビーカーは座席の隣に『後ろ向き』に横付けしてください」「ベビーカーを青色のベルトで固定してください」といった注意事項を呼びかけている。また、混雑時や深夜運行、高速乗り合いや空港行きのバスについては、「ベビーカーをたたんでご乗車くださいますようお願いいたします」としている。

 一方、アラブ首長国連邦(UAE)に2年前まで在住し、4歳と9歳の女の子を育てる30代女性は、日本と海外の子育て環境の違いに対して強いギャップを感じているといい、「日本の育児環境は少し厳しいと感じています。海外では、子どもが騒ぐのは当たり前とされる場面が多いのですが、日本ではなぜか肩身が狭く感じることが多いです」と胸中を打ち明ける。

 具体的には、海外の場合、レストランなどの公共の場で、親が手が離せない際には店員が子どもを抱っこしてくれたり、遊び場が充実しているのが当たり前であったことに対し、日本ではそういったサービスが少なく、困ることが多いとのことだ。

 それでも、東京都内に住み続けている理由は、「手当が厚いことと、主人の仕事の都合で東京にいなければならないため」と説明しており、日本の育児環境に対する不満を抱えつつも、現状を受け入れているという。

 駅での通行トラブルが発生した場合の対処法とは。東京メトロを運営する東京地下鉄株式会社によると、直近3か月間ではベビーカーが被害に遭うトラブル報告はないというが、「お客様同士がぶつかる行為については十数件あります」と明かした。同社はトラブルが発生した場合、車両2か所に設置された「非常通報装置」やホームに設置してある「駅係員呼出インターホン」を使って、係員を呼び出すよう案内している。