宣伝のために「裏側密着映像」を作る人が増えているが、「面白い」と「宣伝の本来の目的を果たす」の両方を満たす動画作りは難しい! プロセスエコノミーの旗手・西野亮廣は、面白く見せつつ“仕事の成果にもつながる”ドキュメンタリーを、どう作っているのか?

AI要約

西野亮廣さんがミュージカル制作の過程で経験した困難や裏側のエピソードをドキュメンタリー映像として公開することになった。

制作過程でのトラブルや苦労、面白いエピソードが含まれ、100年に一度のパンデミックや巻き込み事故なども乗り越えてきた。

西野さんがプロセスの面白さと成果物のクオリティーの両立の難しさについて、起業リアリティーショーの例を挙げながら語る。

宣伝のために「裏側密着映像」を作る人が増えているが、「面白い」と「宣伝の本来の目的を果たす」の両方を満たす動画作りは難しい! プロセスエコノミーの旗手・西野亮廣は、面白く見せつつ“仕事の成果にもつながる”ドキュメンタリーを、どう作っているのか?

23万部のロングセラー『夢と金』の著者であり、今、ビジネスパーソンが追うべき人物の筆頭である西野亮廣さん。プロセスエコノミーを具現した第一人者ともいうべき西野さんが、ミュージカル制作の過程で経験している七難八苦を、このたびドキュメンタリー映像として展開することに。しかし、映像を面白くすることと、本当に伝えたいことを両立させるのは難しい!? 今回も、音声メディア「voicy」で配信中の「#西野さんの朝礼」から編集してお届けする。

今日は【「プロセスの面白さ」と「成果物のクオリティー」の両立は難しいっ!】です。

先日、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル2025』(KAAT神奈川芸術劇場)の裏側密着映像を作ってくださっているスタッフさんとミーティングがあったのですが、その席で僕の口から飛び出してきた話を今日は皆様に共有したいと思います。

あらためてご説明させていただくと、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の歴史というのはコロナ前まで遡るので、気がついたら、結構な時間が経っているんですね。

この間に、100年に一度のパンデミックがあって強制終了させられたり、巻き込み事故に遭って8000万円近くの支払いを求められたり…数えだしたらキリがないほどのトラブルを抱え、命からがら乗り越えてきたわけで、とにかく制作の裏側がメチャクチャ面白いんです。

「それだったら」ということで、去年の夏あたりから密着映像のカメラが制作現場に入りまして、スタッフ同士が揉めているところとかも、ガンガンまわしていたんです。

「その映像をそろそろ出していこう」となり、先のミーティングがあったわけですが、そこで僕が「裏側密着映像を出す目的を、あらためて、ちゃんとチームの皆で握っておきましょう」と話を切り出しました。

#偉そうにすんません

そこで僕が話したのが、まさに今日のタイトルにもなっている『プロセスの面白さ』と『成果物のクオリティー』の両立は難しいよね」です。

たとえば『令和の虎』とかって、ガチで優秀なサービス・商品だけを作りにいこうと思うならば、志願者はあのキャスティングにはならないハズなんです。

視聴者が公開説教を望んでいることは番組制作サイドも勿論理解していて、「誰一人として声を荒げない極めて建設的な話し合い」は視聴者も番組制作サイドも、あまり望んでいない。

「仕事ができる人同士で、淡々と進んでいく交渉」では面白いサービスや商品はできるかもしれないけれど、その様はあまり面白くはない。

やっぱり「シンプルに失礼な人」だとか、「穴だらけのビジネスプランなのに、プライドばっかり高い人」が出ている回が盛り上がっていて、これは『マネーの虎』時代から変わらない。

もちろん、『令和の虎』発の素晴らしいサービスや商品もあって…、つまり優秀な人も出られているのですが、しかしまぁ「素晴らしいサービスや商品を生み出す為のキャスティングじゃなくて、番組を盛り上げる為のキャスティング」というのもゼロじゃないと思います。

これは起業リアリティーショーの『Nontitle(ノンタイトル)』でも同じことが言えると思うのですが、優秀なメンバーの中に、事業を作り上げる上では絶対に要らない「あきらかなトラブルメーカー」をキチンと混ぜ込んでいて、そこで起きるトラブル・人間ドラマがやっぱり面白い。

番組MCを務められている青木さんみたいな優秀な人だけでメンバーを固めてしまうと、面白い事業はできるかもしれないけれど、どれだけ長時間カメラを回しても、面白い絵はなかなか撮れないでしょう。

トラブルに対して、つとめて冷静に対処されるでしょうし、また、プロが本気で事業をやる時に迎えるトラブルって、「胸ぐらを掴みあって口論」などという生優しいものじゃなくて、まったく映像映えしないジメジメとしたものなので。