学生起業家こそ知るべき、誰も教えてくれない「“ヘルシーな”会社の終わらせ方」

AI要約

大学生で起業した江連(えづれ)千佳さんが、ショーツ機能付きのリラックスウェア「“おかえり”ショーツ」を開発し話題となる。

江連さんは社会的なインパクトを追求する非営利株式会社を立ち上げ、学業と経営を両立する二刀流に挑戦している。

学生起業の増加やソーシャルビジネスの重要性について、江連さんが独自の視点で語っている。

学生起業家こそ知るべき、誰も教えてくれない「“ヘルシーな”会社の終わらせ方」

従来の女性下着のイメージを覆す、ショーツ機能付きのリラックスウェア「“おかえり”ショーツ」を開発し、大学生で起業した江連(えづれ)千佳さん。おかえりショーツは入荷直後から毎回売り切れが続出し、メディアやSNSでも大きな注目を集めました。

実は江連さんは2024年、立ち上げた会社から事業だけをM&Aし、CEOを続けながら再び学生に戻るという二刀流で、新たな挑戦を始めています。それを可能にしたのが、経済的価値だけに捉われない「ソーシャルM&A®︎」と、余剰金の配当など株主へのリターンを制限して社会的なインパクトを追求する「非営利株式会社」です。

自信の闘病、フェムテック業界への葛藤、そして新しいビジネスの形について、語ってもらいました。

「社会のために起業したい!」そんな強い意思を持って起業する学生が増加している。実際、日本政策金融公庫が発表した意識調査の結果では、20代の起業予定層は社会貢献意欲が高く、約7割が「ソーシャルビジネス」を起業したいと回答している。

ソーシャルビジネスとは、自社で事業収益をあげながら社会問題解決を目指す事業のことだ。私自身、ジェンダー問題の解決を志し、2021年、大学2年生の時にソーシャルビジネスを立ち上げた学生起業家の当事者である。そして、3年間経営したのち、今年の3月にM&Aという形でそのビジネスに終止符を打った。

会社経営は継続することがただでさえ難しいといわれているが、中小零細企業の倒産が増える昨今は、事業規模が小さいソーシャルビジネスにとって、より困難な状況といえるだろう。

とはいえ、「学生は失敗してもタダなんだからとにかく起業してみたらいいんだよ!」という大人たちの声も聞こえてくる。各大学に次々と誕生する学生起業サークルや、学生起業を後押しするプログラムは、学生起業というチャレンジをよりカジュアルにしてくれた。

たくさんの大人たちやプログラムにチャンスを与えてもらえる環境こそが、私に学生のうちに起業するという選択肢を与えてくれたのだと思う。そういったプログラムでは、会社を作る時、組織をつくる時、決算の時、さまざまな場面で必要なことを起業の先輩たちが教えてくれた。

でも、1つだけ起業する前に全く教えてもらえなかったことがある。それは「会社が終わる時」のことだ。

起業の「始め方」は教えてくれるけど、「終わらせ方」はほとんど教えてもらえない。だからこそ、私はあえて「事業を手放す」という選択肢について、話してみたいと思う。