樹齢3000年の屋久杉が台風10号で倒木…山岳ガイド代表が語る「森はまた再生」の神秘

AI要約

台風10号の影響で、屋久島の樹齢3000年を超える「弥生杉」が倒れた。

弥生杉は知名度が高く、観光客に親しまれていたが、倒木してしまった。

屋久島の自然林では、倒木した木々が新たな森を生み出す自然の循環が見られる。

樹齢3000年の屋久杉が台風10号で倒木…山岳ガイド代表が語る「森はまた再生」の神秘

 日本列島を襲った台風10号は各地に大雨と暴風などの被害をもたらし、樹齢3000年を超える屋久島の「弥生杉」までをも倒木させた。

 屋久島では樹齢1000年超えの屋久杉に固有名詞がつけられている。「縄文杉」はよく知られているが、台風により倒木した「弥生杉」も観光客らの間で親しまれていた。

「台風一過後、車道も通行止めになり、ガイドツアーもできない状況だったので、8月31日に有志のガイドを募って登山道などの安全点検を行っていたんです。その時に、弥生杉が倒れているのを見つけました。弥生杉は屋久島自然林養林である白谷雲水峡から歩いて15分と初心者でもアプローチしやすい場所にあり、知名度の高い屋久杉のひとつでした」(屋久島ガイドオフィス山岳太郎代表・渡邊太郎氏)

 倒木した弥生杉を発見した渡邊氏は、登山道を共有するグループに現状を報告。そのことを人づてに聞いた白谷雲水峡を管理する「屋久島レクリエーションの森 保護管理協議会」から連絡を受け、倒木した弥生杉の写真を提供したという。

「今から約30年前にも『蛇紋杉』という屋久杉が台風で倒れたことがありました。ですが、蛇紋杉はその後も撤去されず、そのままの姿で今でも残されています。大きな木が倒れることで森に大きな窓が空き、光が差し込む。そして光が差すことによってまた新しい命が生まれるんです」(渡邊氏)

 渡邊氏が語るように、倒木した蛇紋杉の周りは再生し、新しい森となっているという。

「もちろん弥生杉が倒れたことは残念ですが、新たな生命が生まれるという意味ではマイナス面ばかりではないと思います。弥生杉に関しては今後、関係機関が協議して(撤去するか否かも含めて)決めると思いますが、個人的には自然の循環を伝える場所として、残しておいた方がいいのではないかと思います」(渡邊氏)

 果てしない自然の循環によって、また新たな森が生まれることを望みたい。