設置数は世界一でも使用率は4% 「AED」ことしで一般利用解禁から20年 背景にあるハードルとは
幼稚園児向けの雑誌にAEDが付録としてついている理由や、AEDの重要性について紹介されている。
AEDの重要性を知るために実際の救命例が紹介されており、AEDが生命を救った事例も具体的に紹介されている。
記事ではAEDの使い方や重要性を幼稚園児から大人まで幅広い年齢層に向けて啓発しており、救命の重要性を伝える目的がある。
雑誌「幼稚園」の最新号の付録は、心臓に電気ショックを与える「AED」だ。
なぜ幼稚園児向けの雑誌がAEDを付録にしたのだろうか。
3日、ジュンク堂大阪市内の書店に並ぶ小学館の雑誌『幼稚園』。最新号の付録は医療機器「AED」だ。
紙でできたパーツを組み立てると、本物とほぼ同じサイズのAEDが完成する。
こだわったのは“リアルさ”。
ボタンを押すと…
「パッドを青いシートから剥がして、図のように右胸と左わき腹に貼ってください」
本物と同じ音声ガイダンスが流れるのだ。
SNSでは「めちゃめちゃリアル」「神付録」と話題に。
一般の人がAEDを使用できるようになって、ことしで20年となり付録には「大人も子供も遊びながら学んでほしい」という思いが込められている。
企画した小学館幼稚園編集 今村祐太さん:ぬいぐるみに(電極)パッド貼っても良いし、寝てるお父さん、お母さんに貼っても良い。お医者さんごっこの延長線上みたいな感じで遊んで知ってもらう。本物により近いことで、本物に触れる機会があったときに、パニック感、びっくり感は少し減らせるんじゃないか。
電極を貼り、異常があれば電気ショックを与え、心臓を正常なリズムに戻す「AED」。
20年の間で、実際に命を救われた人はこれまでに8000人以上いて、大阪にもAEDで助かった人がいる。
岸和田市に住む山内由起子さんはことし4月、小学生になる娘(7歳)の入学式に夫と出席していた。しかし、式が始まってからおよそ15分後、山内さんは突然、意識を失い椅子から崩れ落ちた。
山内由起子さん(45):気付いた時には病院で、『なんで倒れたのかな』とか『入学式は?』ということしかなくて。
突然の出来事の中、動いたのは、その場にいた保護者や先生たち。保護者の中には、たまたま看護師が4人いた。
看護師 宮瀬隆也さん:まず意識がなさそうなので、呼吸の確認と脈の確認させてもらいました。
別の保護者は、すぐに119番通報。
通報した保護者 原陽介さん:少しでも早く通報して来てもらえたら、助かる可能性があるので、すぐ通報した。
救急車を待つ間、交代で心臓マッサージを続けた。
そんな中、先生が持ってきたのが…体育館の入口に設置されていた「AED」。
AEDは、山内さんを「心停止」の状態と判断。
すぐに、電気ショックが加えられ、倒れてからおよそ5分後、山内さんは意識を取り戻した。
看護師 宮瀬隆也さん:他の保護者が自分の上着で、パーテーションで壁作ってくれて、みんなが、やらなあかんことこれかなと、自分たちで思いついて動いた。
夫・山内健史さん:僕自身パニックになったけど、すぐにいっぱい人が集まってくれて、息を吹き返して、少し安心しました。
心停止の状態ではAEDの電気ショックが1分遅れるごとに、救命率はおよそ10%ずつ低下する。
一分一秒を争う素早い救助のおかげで山内さんは退院した後、後遺症もなく日常生活を取り戻すことができた。
山内由起子さん:すごく勇気のある行動で、なかなかできることではない。初めてお会いする入学式の場で、保護者の人たちが一生懸命処置をしてくれて、AEDがなければ今も生きていないと思うし、皆さんがいなければ今はなかったと思うので。