インフルエンザ、新型コロナ……感染リスクを下げる!〈見てわかる〉相手と向き合わない「立ち上がり介助」全手順

AI要約

要介護の高齢者にとって感染症は脅威となる。介助の際に感染リスク低減を図るため、『写真と動画でわかる! 埼玉医大式 力がいらない介助技術大全』から立ち上がり介助の方法を紹介。

効果的な立ち上がり介助の手順を具体的に説明。利用者との接触を最小限にしながら安全に介助を行う。

介助者が利用者を前に押し出すことで、利用者が立ち上がる姿勢を取る。両者が正しい体位になった後は体位保持を行う。

インフルエンザ、新型コロナ……感染リスクを下げる!〈見てわかる〉相手と向き合わない「立ち上がり介助」全手順

ただの風邪、インフルエンザ、新型コロナ……要介護の高齢者にとってはどれも脅威となり得る感染症だ。家庭や施設の状況次第では、それでもお年寄り(利用者)に身体介助を行わねばならないことがある。そんなとき役立つ「感染リスクの低減を図りつつできる」介助の一例を、根津良幸氏の著書『写真と動画でわかる! 埼玉医大式 力がいらない介助技術大全』よりご紹介しよう。

前編記事はこちら〈軽く押すだけで高齢者の体が動かせる「3つの場所」とは。人体の「要所」を利用すれば、身体介助は簡単だった!〉

最近、再び新型コロナウイルスに感染する人の数が激増しているようです。感染症が懸念される環境下でも介助に当たらねばならない介護職や家族はきっといるはずです。ほんとうに頭が下がります。

厳しい現場で奮闘中の介護従事者のみなさんには、ぜひ以下に紹介する「立ち上がり介助」の技術を知っていただきたいと思います。利用者とほとんど向き合わずにできるため、感染リスクの低減が期待できる方法です。

【隣に座り、おじぎで立ち上がり】

(1)利用者の脚を閉じる

利用者の両足の親指と膝をくっつけて脚を閉じた状態にします。

(2)利用者の手をお腹の前で交差

親指・中指・薬指で利用者の手を取り、太腿の上にのせて交差させます。

(3)隣に座って手首を押さえる

介助者は、利用者の隣に座ります。次に片手で利用者の両手首に触れ、挟んで固定します。

(4)前傾姿勢へと誘導

ここで人体の要所に関する知識を使いましょう。利用者の背骨と肩甲骨の交点を軽く手で押して、上体を前傾させます。

(5)背中に腕をまわす

続いて利用者の背中に腕をまわし、そのお尻に手を深く差し入れ、座骨に触れます。

(6)片足を前に出す

利用者から離れている側の足を、できるだけ大きく前に出します。次の手順の前に「では立ちますよ」と利用者に声をかけましょう。

(7)深くおじぎをして押す

介助者が大きく前傾しながら、背中にまわした腕で利用者を前に押し出します。すると、利用者の体も崩れて立ち上がってきます。

(8)利用者と一緒に立ち上がる

両手首を固定した手を利用者のお腹に軽く押し付けて、勢いを抑えながら立ち上がります。介助者と利用者がともに直立したら完了です(このあと必ず体位保持を行います)。