「先輩が亡くなりました」医大生が体感したHPVワクチンと子宮頸がんの現実

AI要約

医学生の中島花音さんが子宮頸がんを予防するHPVワクチン接種についての啓発活動を行っている

中島さん自身がHPVワクチンを打ち逃した「キャッチアップ世代」であり、情報不足に疑問を持ち活動を始めた

活動では医学的根拠に基づいた情報を提供し、検討を促すスタンスを取っている

医学的に正しい情報を知ってもらい、ワクチンを接種するか検討してもらうことを重要視している

自主的な選択を尊重しつつも、情報不足による後悔を避けるために考える機会を提供している

「接種しない」状況でも、情報を得た上での選択と無知なままの選択は異なると考えている

HPVワクチンに関する医学的根拠を理解し、考える機会を提供することを重要視している

「先輩が亡くなりました」医大生が体感したHPVワクチンと子宮頸がんの現実

『学生団体Vcan』という団体を仲間と立ち上げ、子宮頸がんを予防するHPVワクチン接種について、啓発活動を続ける医学生の中島花音さん。

中島さん自身も副反応疑い報道の影響で自治体からお知らせなどが止まり、HPVワクチンを打ち逃した「キャッチアップ世代」(平成9年4月2日から平成20年4月1日生の女性)だった。医大生になり医学的根拠に基づいた情報を知ることで、子宮頸がんの実態やHPVワクチンの必要性を知り、「どうしてもっと早く、必要性を学校で教えてくれなかったのだろう?」という疑問が活動のきっかけになったという。

今、中島さんらは、『Vcan全国中高ツアー』と題した出張授業やSNSなどでの情報配信などを行なっている。その際、心しているのは、「一方的に押しつける情報でない」こと、「じぶんごと」として考えられるように情報配信をすることだという。一体どんな内容なのか、引き続き後編で中島さんに執筆いただく。

私たちが発信する上で大切にしていることがあります。

それは「医学的根拠に基づいた情報を届けること」です。「正しい情報を知れば、ワクチンを接種するはずだ」と考える方もいらっしゃいますがが、人によって「正しさ」の基準は異なると考えています。医師は科学を扱っているので、エビデンスのある情報を「正しい」と扱っています。ですが、それは一般の人たちすべてにとって「正しい」とは限りません。

活動していく中で、宗教的な背景や家族の考えから影響を受け、接種に不安を感じている方にも出会いました。大事なのは、「漠然と正しい情報」ではなく、「医学的に正しい情報」を知っていただき、ワクチンを接種するか検討してほしい、というスタンスでお伝えすることだと考えています。

前編でもお伝えしましたが、活動していると「ワクチン推奨派のくせして」と言われることがよくあります。ですが、それは大きな誤解です。私たちは「ワクチンを接種しましょう」と言っているのではなく、そもそも予防する手段があっても、HPVワクチンを接種できる当事者たちが知らないことが課題だと思って活動しています。自分でしっかりと考えた上で接種しないのであれば、その選択を応援します。

ですが、情報を知った上で「接種しない」のと知らないまま「接種しない」では、同じ「接種しない」状況でも異なるものだと感じています。現状では、そういったHPVワクチンの医学的根拠に基づいて「考える」機会を接種する当事者が持たされていません。「知らないまま後悔しないで」と「ぜひ考えることからお願いしたい」の2つをお伝えしています。