存命なら91歳以上 古書市で見つけた古いアルバムの持ち主は 行く末にネット注目

AI要約

古書市で見つけた家族の古いアルバムが話題になり、長澤均さんが投稿した写真には興味深いファッションの歴史が垣間見える。

長澤さんは古書市でアルバムを見たことがなかったが、今回のアルバムは少女の成長記録と当時のファッションが詳細に記録されており、貴重な資料として感じられた。

子ども服から当時の時代背景やファッショントレンドが読み取れ、投稿されなかった写真にも注目が集まるほどの興味深さがあった。

存命なら91歳以上 古書市で見つけた古いアルバムの持ち主は 行く末にネット注目

「古書市に行くと家族の古いアルバムがよく売りに出ている」――そんな興味深い一文に添えられたのは、歴史を感じる複数枚のレトロなモノクロ写真。「ご家族が見つかるならお返しできれば」という願いが込められた投稿が、X(ツイッター)で大きな注目を集めています。果たして見つけることはできたのでしょうか。投稿者の長澤均さんに詳しいお話を伺いました。

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 服飾史家でグラフィックデザイナーの長澤さん。職業柄、ファッションやデザイン、写真、アートなどの資料として集めた蔵書が自宅にたくさんあります。それらを処分するため、毎日1冊ずつ出品するオンライン古書店「mondo modern(モンド・モダーン)」を、2017年の秋に始めました。長く続ける気で古物商の免許も取得し、現在では蔵書だけでなく仕入れた本も販売しています。

 同店の特徴は、多様なジャンルの古書に出合えること。そして、長澤さんが気に入った本しか仕入れず、一冊一冊に詳細な批評性のある解説を書いています。そこまでするにはかなりの知識が必要になりますが、「もともと古書店向きだったのかもしれません」と長澤さんは笑います。

 相場などのリサーチをするために、古書市に足を運ぶことも。普段は古書市で仕入れをすることはあまりありませんが、あるとき妙に印象的な一冊に出合いました。

 それが、Xで6.6万“いいね”を集めて話題になった古いアルバムです。そこには、裕福な家庭に生まれたと思われる、1人の少女が大人になるまでの記録が残されていました。

 長澤さんによると、古書市で家族のアルバムをよく見かけるようになったのは2010年代。その頃から、インターネットオークションなどでも高値で取引されるようになったといいます。

 長澤さん自身は他人の家庭に興味がなく、これまで古書市でアルバムを見かけても、中を見たことはあまりなかったそう。しかし、今回はほかと違い、かなり大きくて厚いアルバムに興味を引かれました。実際に開いてみると、少女のかわいらしさ、そして衣服などに魅了されたのです。

「戦前、戦中、戦後の様子がとてもよくわかる貴重な資料だとも思った」という長澤さん。子どもたちの洋服には、時代が実によく反映されているといいます。

「投稿した写真の1枚目、男の子が着ているベルトのついたジャケットはツイードで仕立てたもので、たいそう立派なものと思いました。ラペルが大きいのは、1930年代のメンズファッションの特徴なので、子ども服にもそれが出ているなぁと。投稿しなかった写真ですが、女の子が着ている市松のコート・ジャケットも、1920年代のモダンガールの影響かと思いました」