子供の頃はフレンチ・ブルー・ミーティングが遊び場 プジョー206 S16を愛する24歳は、シトロエンC2、BXと乗り継いできた強者だった!

AI要約

24歳の松岡さんは生まれつきフランス車好きで、シトロエンC2、BXブレークを経てプジョー206 S16に最高のクルマを見出す。

松岡さんは小学生の頃からフランス車に囲まれ、憧れのBXを手に入れるも壊れてしまい、今のプジョー206に乗り換える。

206の乗り心地、デザイン、取り扱いのしやすさに大満足の松岡さん。しかし、BXへの思いは今も薄れず、大切な経験として心に残っている。

子供の頃はフレンチ・ブルー・ミーティングが遊び場 プジョー206 S16を愛する24歳は、シトロエンC2、BXと乗り継いできた強者だった!

エンジン編集部唯一の20代ムラヤマが担当する連載『若者だってクルマ好き!』。今回は、生まれたときからフランス車漬けだったという24歳の松岡さん。シトロエンC2、BXブレークを乗り継いだ今、プジョー206 S16が最高のクルマなのだという。

◆フランス車好きになったのは生まれつき

朝7時半。まだ約束の時間より30分も早いというのに、待ち合わせ場所には濃紺のプジョー206 S16を丁寧に磨いている青年がいた。

「せっかくだから遠回りしてドライブして来ようと思って。そしたら早く着いちゃいました」

納車されてからまだ1週間の206の運転が楽しくて仕方ないのだと、オーナーの松岡英喜さんはいう。

松岡さんは広告・イベント関係のデザイナーとして働いている24歳。

小学2年生のときにケン・オクヤマ氏の特集をテレビで見て以来、カーデザイナーを目指していたそうだ。

「フランス車好きになったのは生まれつきに近いです。当時父が乗っていたプジョー306で、毎年のようにフレンチ・ブルー・ミーティング(FBM)に連れて行かれるのが恒例でした。その後シトロエンC3になって、もう13年くらいになります」

松岡さんにとって、クルマといえばフランス車が自然で、ごく当たり前だったのである。

「幼少期には、友達の家のクルマと比べるとちょっと質素だなと思っていました。だけど、家のクルマは長時間のドライブでどこまで行っても疲れないし、日常に寄り添ってくれている感じが強かった。特別かっこいいとかは思わないけれど、それが良くて、大人になったらフランス車に乗りたいと漠然と思っていました」

そこで松岡さんが免許を取ってすぐに買ったのはシトロエンC2だ。

「ラリー(S1600)でセバスチャン・ローブが乗るC2を見てからずっと興味があったんです。でもタマが少なくて諦めかけていたときに、父がずっと通っているショップに入庫したと聞きつけて即決しました! 当たり個体だったのか全然壊れなかったし、学生時代で時間もあったから、一番純粋に楽しめましたね」

しかし、松岡さんの憧れのクルマは、C2とは別にあったという。

「10歳頃に参加したFBMで、シトロエンBXが並んでいるのを見た時にビビッ! ときて、車高が落ちているときの鼻先の低いデザインに惚れました。俺、将来これに乗る! と初めて心に決めたクルマなんです」

2022年末。社会人生活2年目が終盤に差し掛かった頃、松岡さんはついに憧れのBXを手に入れた。

◆いちばんの心の拠り所

「中古相場の上昇が激しいのを見て、もう今買うしかない! と思い、急いでお金を集めました。それで禁断(笑)の、一番安いBXを見に行ったんです。BX乗りの友人にも見てもらって、ある程度は覚悟した上で仕上げていくつもりで買ったのですが……。親父には“まじで勘弁してくれ”と呆れられましたよ」

予感は的中してしまったそうだ。

「初めて乗った日の夜に早速動かなくなって、それから転がり落ちるようにどんどん壊れました(笑)。それでも、憧れのクルマだったから意地でも乗りたい。たまに街で見かけるBXのように、かっこよく乗りたいと思ったんです。それに、当時は社会人3年目で仕事も大変で、BXがいちばんの心の拠り所でしたから」

しかし願いは叶わず、修理の見込みが立たない電装系のトラブルに見舞われてBXを手放す決断をした。

「いよいよBXがダメだというとき、C2を買った店にプジョー206が下取りで入ったと知ったんです。それが今の愛車です。色も好みだし、206に乗るなら絶対譲れないと思っていた初期型のサンルーフ無し。もうこれに乗るしかない!」

それが今年の3月末。予防整備などを終えて納車されたのは6月末だ。

「飾り気はないけどちょっとポップなデザインもあって、気張らなくて良い感じが好きです。走りの面ではハンドリングの良さが気に入っています。趣味車としても実用車としても、全部がちょうど良くて、今の僕にとって最高の乗り物なんです」

乗り心地が良く長距離走行でも全く疲れないところは、これまで経験してきたフランス車と同じだそうだ。

「206は本当に気軽に乗れるから、行きたいところにはどこでもこれで行きたいし、背伸びせずに長く付き合っていける相棒だと思います」

とはいえ、松岡さんのBXへの熱い想いは今もまったく薄れていない。

「BXは乗れた時間こそ短かったけれど、ハイドロ・シトロエンに乗るという本当に良い経験ができたし、僕の年齢で人生の愛車遍歴の一台にできたのは本当に幸せです。あと10年早かったら、もっと部品も豊富で仕上げることができたのですが……。それでも、ちょっと古いクルマとのカーライフの過ごし方や見るべきポイント、予防整備は大事だとか、大切なことをたくさん教えてくれました。それがあったからこそ、206を大事にしていける気がします」

BXの分まで、206とたくさんの思い出を作ってくださいね!

文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

(ENGINE2024年9・10月号)