「左下腹部」が痛いときに考えられる原因は? 海外の専門家たちが解説

AI要約

左下腹部の痛みの理由として、便秘や排卵痛、肛門ヘルニアが考えられる。

便秘がひどくなると左下腹部に不快感が生じ、治療には便秘改善が必要。

排卵時に起こる左下腹部の痛みは自然に治る場合が多く、鎮痛剤が有効。

「左下腹部」が痛いときに考えられる原因は? 海外の専門家たちが解説

体のどこかが痛いと決して良い気分にはなれない。特に、おなかの左下に痛みがあるときは不安に陥りやすいもの。だってそこには、重要な器官がたくさん集中しているから。

ここからは、左下腹部が痛いときに考えられる理由を専門家たちが詳しく解説してくれた。アメリカ版ウィメンズヘルスから見ていこう。

※本記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスからの翻訳をもとに、ウィメンズヘルス日本版が編集して掲載しています。

テキサス州にあるDHRヘルスに勤務する消化器内科医のヘンリー・ヘレラ医学博士によると、便秘により度合いが異なるものの、便秘がひどくなると左下腹部に膨満感や不快感が生じることがある。具体的には、臓器が便を移動させようとして大腸にガスが閉じ込められて痛みが発生する。そのため、腹痛を治すには便秘を治す必要がある。

ヘレラ医学博士いわく、便秘が悪化すると直腸で便が固まるので、その後ろにある便が行き場をなくし、固まった便がどんどん蓄積してしまうとか(この症状は、ベッドで寝たきりの高齢者や慢性疼痛治療薬を服用中の患者によく見られている)。

重度の便秘になると吐き気や嘔吐を伴い、場合によっては指で排泄物を取り除く必要が出てくることも。また、便の量が多ければ肛門管を通過するときに傷が付いて出血を起こしたり、便を出すために強くいきむことで痔や裂肛(切れ痔)が生じることもあるそう。

長い間便秘が続き、痛みや出血があり、日常生活に支障をきたしている場合はすぐに医師の診察を受けること。

ルーリー博士が言うには、排卵の時期になるとおなかの左下が痛くなることがある。これは「排卵痛」というもので、それを表現するためにドイツ語の「ミッテルシュメルツ(中間の痛み)」という言葉がよく使われている。

排卵中は、優勢卵胞から流れ出る液体が骨盤腔を刺激するため痛みが生じる。ルーリー博士いわく、痛みは鈍痛や生理痛に似た痛み、ときには鋭い痛みを感じることもあるそう。通常は1~2日間続き、左下腹部の痛みに加えて吐き気や腰痛、おりもの、出血を伴う場合もある。

基本的には自然に治るので、安静にする以外の特別な治療は必要ない。カイロを使用したり、鎮痛剤を服用して痛みを和らげることができる。

ヘルニアとは筋肉が弱くなり、臓器や組織がその欠損部を通って本来の位置から突出する。ルーリー医学博士いわく、肛門ヘルニアがある場合には左下腹部に痛みが生じる可能性がある。

肛門ヘルニアは、小腸か大腸が筋膜を突き抜け、骨盤器官の近くでポコっとした膨らみができる。通常は鈍い痛みがずっと続き、時間の経過とともに悪化する。膨らみは徐々に大きくなり、咳やヘルニアの圧迫など他の症状もひどくなる。

ヘルニアは通常手術で治療される。低侵襲の腹腔鏡手術やヘルニアの部位の皮膚の切除を行なって骨盤内の弱っている部分を補強する手術が行われる。