やりたいことが見つからない人の共通点:禅僧・枡野俊明さん「心のメタボ」解消のコツ#2

AI要約

枡野俊明さんは禅の考え方をもとに、心穏やかに暮らすコツを伝えています。

枡野俊明さんは庭園デザイナーとしても活躍し、美しい庭に興味を持ったきっかけを語っています。

枡野俊明さんは、本当の自分に向き合うことの重要性について説いています。

やりたいことが見つからない人の共通点:禅僧・枡野俊明さん「心のメタボ」解消のコツ#2

禅の考え方をもとに、心穏やかに暮らすコツを著書や講演、メディアなど多くの場で語っている枡野俊明さん。前回は、世の中の情報に気を取られ過ぎると自分自身を見失ってしまう、というお話でした。第2回は「本当の自分に向き合う」ことについて伺います。

ますの・しゅんみょう

1953(昭和28)年、神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。「禅の庭」の創作活動で、国内外から高い評価を得て、99年、芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。2006年には、『ニューズウィーク』日本版で「世界が尊敬する日本人100人」に選出。著書に『「幸福の種」はどこにある? 禅が教える人生の答え』(PHP文庫)など多数。

第2回は、私自身の話から始めさせていただきます。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、私は神奈川県の禅寺の住職であり、庭園デザイナーでもあります。

私が、庭造りをしたいと初めて思ったのは小学校5年生のときです。私は今自分が住職をしている寺で生まれましたが、父が先代の住職だったとき、戦争で境内は荒れ果てていました。食料がない時代でしたから寺の庭も畑にされており、寺の中は、どこでも走り回っていいような状態でした。

そんなとき、両親に連れられて京都の龍安寺さんに行き、石庭を拝観したのです。今では大変有名なお寺とお庭ですが、当時はそれほど混雑しておらず、数人が静かに熱心に、石庭を眺めていらっしゃいました。

「こんなきれいなところがあるのか」と驚きました。そして「こういうのを禅寺というのか」とカルチャーショックを受け、「将来、うちの寺にもこういう庭を造らなければ」と子ども心に思いました。これが庭に興味を持った出発点です。

その頃はただ、自分が継ぐお寺にも何とかきれいな空間や庭、境内を造り、自分で整備していけるようになりたい。そういう単純な夢だったと思います。美しい庭というものがただ好きでした。