「隠し子」「認知していない子ども」「連れ子」→相続はどうなる?相続権が〈ある子ども〉と〈ない子ども〉3つのケースをプロが解説

AI要約

相続人は血縁関係によって決まりますが、隠し子や認知していない子ども、連れ子など複雑な事情を持つ場合もある。記事では、相続時の子どもの権利について解説する。遺留分侵害請求や認知を行っていない子どもの扱い、連れ子の相続権などについて説明されている。

相続人調査の重要性や遺留分の有無、認知していない子どもの相続権、連れ子の特例など具体的なケースを取り上げて説明されている。

父子関係の証明や家庭裁判所への申し立てなど、相続時における子どもの権利の確保に関する様々な情報が提供されている。

「隠し子」「認知していない子ども」「連れ子」→相続はどうなる?相続権が〈ある子ども〉と〈ない子ども〉3つのケースをプロが解説

相続人は血縁関係によって決まります。とはいえ親子関係は単純なものばかりではなく、「隠し子」や「認知していない子ども」、「連れ子」がいるなど、複雑な事情を抱える家庭も少なくありません。では相続が発生した際、複雑な事情を持つ子どもの「相続する権利」はどのような扱いになるのでしょうか。本記事では、松尾拓也氏の著書『「おふたりさまの老後」は準備が10割』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集し、3つのケースを取り上げ解説します。

A. 黙っていても、相続時に子どもの存在はわかってしまいます。

離婚していようと、別居していようと、自分の子どもは相続人のままです。そして、故人の相続人を特定する場合には、亡くなった方が生まれてからお亡くなりになるまでのすべての戸籍を集めることによって行います。

前妻(前夫)との間に子どもがいる場合、戸籍に記載されているため、相続人調査の段階で子どもの存在がわかってしまいます。生前に遺言書を作成しておけば、現在の妻と前妻との子との間で話し合い(遺産分割協議)をする必要はありませんが、遺言執行者は相続人に通知をしなければならないため、遺産分割協議の有無とは別に相続人調査を行う必要があります。

そして子どもであれば遺留分をもつため、前妻との子が遺留分侵害請求をしてきた場合には、基本的に対応せざるを得ないでしょう。

では、戸籍に載っていない、つまり認知していない子どもの場合はどうでしょうか。婚姻関係のない相手との間に子どもができた場合、母子関係は出産によって証明されますが、父子関係は父親が「自分の子どもである」と認知しなければ父子となりません。

そのため、実際には血縁関係にあっても、認知をしてない子どもは相続人にはなりません。子どもの認知は、死後に遺言によって行うことができます。

また、父親が認知を拒む場合は、子どもの立場から家庭裁判所に対して認知を求める調停を申し立てることができます。この申し立ては父親が亡くなっても、死後3年以内であれば可能です。

結婚した相手に連れ子がいた場合、連れ子と自分の間に法的な親子関係はないため、相続人にはなりません(遺言書によって遺贈を行うことは可能です)。ただし、養子縁組をした場合には、実子と同様に相続人になり、遺留分を有します。

松尾拓也

行政書士/ファイナンシャルプランナー