「女の子が乗るものじゃない」 父に反対されても憧れた国産名車、19年乗り続ける2児の母

AI要約

19歳で手に入れた日産シルビアは、シングルマザーの子育てを支え続けてきた愛車である。

苦労を乗り越えながらも、愛車との思い出が詰まった19年間を振り返る。

家族の一員として大切に乗り続けるシルビアへの愛情が深く描かれている。

「女の子が乗るものじゃない」 父に反対されても憧れた国産名車、19年乗り続ける2児の母

 シングルマザーの子育て、そばで支え続けてくれたのは、日産シルビアだった。19歳の頃から乗り続けて19年。家族の思い出が詰まっている大事な1台だ。30代の2児の母は、“シルビア一筋”の愛車人生を歩んでいる。

 1993年式のS13型シルビア。19歳の頃に中古で手に入れるまで、ちょっとした紆余曲折がある。

「10代の時、スポーツカー系のクルマに乗りたいと憧れを持ちました。当時バイトしていたラーメン屋の仲間はクルマ好きが多くて、みんなが好きだったシルビアに私も乗りたいなって」。すっかり“意中の人”になった。

 親に相談したが、猛反対された。「父からは『女の子が乗るものじゃない』とも言われました。実は本当の最初は軽自動車を買ったのですが、その後に勝手に売りに行ったんです(笑)」。どうしても乗りたかった。夢のシルビアに恋い焦がれた。

 女性オーナーにとっての“初代”は黒のS13型シルビアだった。「でも、知人に貸したら、故障しちゃって」。そして2台目を探した結果、現在の愛車に巡り合ったのだ。

 ローン支払い、シングル子育て、仕事との両立……。現在は自動車部品関係の工場で働いている。苦労も多かったが、「子どもたちと、この子、シルビアがいてくれたから、ここまでやってくることができました。この子も壊れたら修理の繰り返しなのでお金がかかってばかりなんですけれどもね(笑)。そう言えば夏場にエアコンが壊れて、暑くて大変だった時もあったなあ。すべてひっくるめて、いい思い出です」。ミニバンのファミリーカーという選択肢もあったが、一択で歩んできた。シルビアあってこその人生だ。

 保育園や学童の送り迎えでは、豪快なエンジン音をとどろかせた。「子どもたちは『うちのママが来た』ってすぐに分かったみたいで(笑)。それに、クルマ好きのパパさんたちからは『昔乗ってたよ』と懐かしんでもらいました(笑)」。秩父の山々への家族ドライブにもよく行った。東京オートサロンの前乗りで、駐車場で3人の車中泊も経験。思い出はいくらでも出てくる。

 18歳の長男、13歳の次男はすっかりクルマ好きに育った。「長男は免許を取りたいとうずうずしています。GR86に乗りたい、ともう決めているそうです」と顔をほころばせる。

 管理・維持はけっして手を抜かない。ローンをさらに組んで、昨年8月にオールペン(全塗装)が完了した。パールホワイトの純正色がさらなる輝きを放っている。

「やっぱり、このシルエット、外見です。これ以上かっこいいクルマはないと思っています」。いつまでもベタぼれだ。

 まさに家族の一員。「まだまだ乗ろうと思っていますよ。運転できなくなるまで、これからもずっとずっと、乗っていきます」と力を込めた。