まもなく閉幕、五輪から何を学ぶ? 関心の薄い子どもたちに塾講師が伝えたいこと

AI要約

パリ五輪が終盤を迎えている中、塾講師の秋山俊介さんが五輪への関心の低下や重要性について語る。

五輪の醍醐味は開会式や閉会式にあり、競技だけでなく文化や歴史も学べる。

競技の面白さや選手たちのコミュニケーションなど、五輪にはさまざまな魅力がある。

まもなく閉幕、五輪から何を学ぶ? 関心の薄い子どもたちに塾講師が伝えたいこと

パリ五輪も終盤を迎えました。五輪は本来「平和の祭典」であるにもかかわらず、色々な問題をはらんでいること知られています。それでも各国の選手が一堂に会し、スポーツに夢中になる姿から学べることは大きいと言う塾講師の秋山俊介さんに、年代に応じた「見方のコツ」を聞きました。

(あきやま・しゅんすけ) 東証マザーズ上場のインターネットベンチャーで営業、新人研修を担当。その後栃木県内に教室を展開する「ノア外語学院」で小学生の学習カリキュラム、中高生の受験教科、英語の専門指導を行う。オンラインの学習ツールを用いての生徒の学習サポート、業務のDX化推進、オンラインでの保護者説明会や業務管理を担当。今春、栃木県栃木市で「グローバル学習塾インサイト」を開業した。マラソンと英語学習が趣味。子育て支援「NPOさののわ」副理事。英検1級、TOEIC975点。

――夏期講習まっただ中です。塾では、小学生から高校生の生徒たちに日々向き合っていらっしゃいますが、子どもたちの五輪への関心はいかがでしょうか。

いまの塾を立ち上げる前から、塾講師として指導を続けており、五輪への興味関心の度合いを子どもたちに聞くようにしていますが、年々低くなってきているように感じます。

スマートフォンが普及したことで、子どもたちは自分の趣味を追求し深堀りできるようになりました。自分の「推し」を見つけ、それに共感する相手も、オンラインで簡単に探すことができます。

世の中で広く関心を集めていることでも、自分の興味がなければ、あえて注意を向ける必要がなくなってきているなという印象です。ただ、塾講師、また英語講師として、五輪をぜひ見てほしいと思います。

――なぜ、そう思われるのでしょうか。

競技はもちろん面白いですが、開会式と閉会式のセレモニーに五輪の醍醐味があると思います。世界各国の人が一堂に会す機会というのはめったにありません。塾講師の視点で初めて感動したのはロンドン五輪でした。産業革命を起こして世界を変えた。そんな、英国人の誇りが伝わる舞台仕立てになっていました。開催国が、自国の文化やこれまでの歩みをアピールできる五輪のセレモニーは、教材から学ぶ歴史より、もっとリアリティーがあり迫力があります。

今回のパリ五輪では史上初めて、開会式がスタジアムの外で行われました。エッフェル塔に向かって何千人もの選手たちが船に乗ってセーヌ川を進む光景は壮大でした。いまは動画配信で、後から見ることもできます。ずっと見るのはさすがに長いので、見たいところを絞って、それ以外の部分は早回しでもいいかなと思います。セレモニーには、開催国が大切にしていることが詰まっているので、時間が経ってもいいので見てほしいですね。

――今回の五輪競技のこれまでを振り返ってみて、印象的だったシーンを教えて下さい。

開幕してすぐ、スケートボードで堀米雄斗選手が連覇しました。圧巻の金メダルでしたが、ひとたび競技が終わると、他国の選手と楽しそうにコミュニケーションをとっていました。一方、お家芸の柔道ではプレッシャーの中、切磋琢磨したけれど思うような結果が出せなかった阿部詩選手の涙も注目されました。また、混合の団体戦では審判の判断をめぐり日本国内から反発もありました。スケートボードと柔道、この両者は対照的で興味深かったです。

もちろん競技の歴史の成り立ちも全く違うので、どちらがいい悪いという問題ではないと思います。ただ、突き詰めると、スポーツってなんだろうと考える、いいきっかけになる気がしました。日本発祥の競技もあれば、そうでないものもある。でも、色々な国の選手を巻き込んで国際競技にもっていくという前提でオリンピック競技になっているはず。同じ試合を見ても、人の感じ取り方は実にさまざまです。だから面白い。相手を非難するのではなく、「私はこう見た。でも、こんな見方もあるんだ」と、視野を広げていけたらいいなと思います。