ベビーカー利用時の日よけのブランケットであわや子どもの窒息事故!? もしもの時のために心肺蘇生法を身につけて【小児科医】

AI要約

ベビーカーでのお散歩中に子どもが窒息する可能性があることについて、医師の山中龍宏先生が注意喚起しています。特にベビーカーでの赤ちゃんの様子を確認し、食べ物を口に入れることや窒息の危険性について理解する必要があります。

夏や冬などの季節に合わせて赤ちゃんの衣類や対策を考える中で、ブランケットなどの使用についても注意が必要です。赤ちゃんの安全のためにこまめな確認と適切な対処が求められます。

救急時における心肺蘇生の重要性についても強調されており、一般市民が適切な処置を行うことが命を救う可能性を高めるとしています。救命措置について学ぶ機会を活用し、緊急時に適切な対応ができるように準備することが重要です。

ベビーカー利用時の日よけのブランケットであわや子どもの窒息事故!? もしもの時のために心肺蘇生法を身につけて【小児科医】

ベビーカーでのお散歩、暑さや紫外線が気になる季節は、ほろをしっかりとおろしていることが多いでしょう。ベビーカーをおしているママ・パパから見えないところで赤ちゃんが日よけ用のブランケットを口に入れたり、食べ物をのどに詰まらせてしまうような事故が起こっています。小児科医の山中龍宏先生に子どもの窒息事故について聞きました。

――ベビーカーに乗っている間に、子どもが窒息することはあるのでしょうか。

山中先生(以下敬称略) ベビーカーに乗せているときにブランケットやタオル、人形などを手でつかんで口に入れることはあるでしょう。どんどん詰め込んでしまうと窒息の事故につながりますので、これらのものは子どものそばに置かないということが大切です。生後7カ月ごろからは、とくに注意してください。ベビーカーだけでなくベビーベッドに寝かせるときやチャイルドシートに座らせているときも同様です。

――夏なら日よけや冷房対策、冬なら防寒、そしてお昼寝用にブランケットを使うママ・パパも多いと思います。

山中 もしブランケットを使う場合は、少し大変かもしれませんが5~6分に1回は赤ちゃんの様子を見てください。夏は、熱中症の心配もあるので、こまめに赤ちゃんの様子を確認しましょう。

2021年6月、静岡県で生後11カ月の男の子が、ベビーカーに乗ったまま2~3センチ大のパンを食べていて、のどに詰まり窒息した事故も起きています。ベビーカーに乗せまま、何か食べさせるのは危険です。もしおなかがすいているときは、一度ベビーカーを止めて、ママ・パパが見守る中で、食べさせてあげてください。

2024年1月総務省が発表した「令和5年版 救急・救助の現況」によると、2022年中の救急車の現場到着所要時間は全国平均で約10.3分。その間、何もしなければ救える命も救えない可能性が高まります。

――もし、窒息をしてしまって子どもの顔色が悪かったりしたら、心肺蘇生をしたほうがいいでしょうか。

山中 なかには、救急隊が助けてくれると思っている人もいるかもしれませんが、救急車が到着するのを待っていては、手遅れになる可能性があります。その場で心肺蘇生をする判断をしてほしいと思います。

――前述の総務省の発表では、2022年中に一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者数は2万8834 人。そのうち一般市民が心肺蘇生を行ったり、AEDを使用した傷病者数は1万7068人(59.2%)でした。

山中 約40%の人は、その場で心肺蘇生などの処置が行えなかったということですよね。窒息したり、溺れたりして意識と呼吸がない場合は、すぐに心肺蘇生が必要です。すぐに心肺蘇生が行われないと、亡くなってしまったり、一命を取り留めても重大な障害が残ったりする可能性があります。

子どものそばにいつもいるのはママ・パパです。そのためママ・パパには、心肺蘇生法を学んでおいてほしいと思います。

――心肺蘇生法はどのようにして学ぶといいのでしょうか。

山中 たとえば千葉県船橋市では、船橋市応急手当指導員(市民インストラクター)を育成しています。また、親子向けに心肺蘇生法とAEDの使い方を学ぶ講座を開くなど、一般市民の救命講座にかなり力を入れています。

こうした講座を調べて参加するのもいいですし、もし時間がない場合は、日本赤十字社東京都支部がYouTubeで乳幼児の心肺蘇生法とAEDの使い方などを紹介しているので、そうした動画を見て学んでもいいでしょう。

お話・監修/山中龍宏先生

取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部

子どもはおふろやプールで溺れたり、誤飲して窒息するなど、すぐに心肺蘇生が必要となる事故にあうことも。

「令和5年版 救急・救助の現況」(2024年1月総務省発表)では、一般市民が心肺蘇生を行った場合と行わない場合を比べると、1カ月後の生存者数は約2倍。1カ月後の社会復帰者数は約3倍の差があると報告しています。

●記事の内容は2024年7月の情報であり、現在と異なる場合があります。

監修者

【小児科医】山中龍宏 先生

PROFILE:緑園こどもクリニック 院長

1974年東京大学医学部医学科卒。 東京大学医学部小児科講師、焼津市立総合病院小児科科長、こどもの城小児保健部長などを経て、 1999年4月より「緑園こどもクリニック」院長。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取ったことから事故予防に取り組み始め、現在、こども家庭庁 教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員。2014年より特定非営利活動法人 Safe Kids Japanを設立。理事長を務める。