夏休みに知っておきたい、不登校の児童・生徒は珍しくない現実:子どもに寄り添う対応策とは

AI要約

文部科学省が公表した統計によると、2022年の小・中・高等学校および特別支援学校におけるいじめの認知件数は前年度比10.8%増の68万1948件だった。

2022年における小・中学校の不登校児童・生徒数は最多で、1.7%の小学生、約6%の中学生、2%近くの高校生が学校に通っていない状況が明らかになった。

子どもたちが居場所を求めている現代、大人が子どもの世界を支える重要性や不登校に陥った場合の対応方法も考えなければならない。

夏休みに知っておきたい、不登校の児童・生徒は珍しくない現実:子どもに寄り添う対応策とは

世間は夏休みシーズン。学校から開放された子どもたちの姿を街で見かけるようになりました。子どもの世界においていじめは昔からありますが、現代でも変わりません。

文部科学省が公表した統計によると、2022(令和4)年の小・中・高等学校および特別支援学校におけるいじめの認知件数は68万1948件(前年度61万5351件)。前年度に比べて6万6597件(10.8%)も増加していました。

子どもたちがスマートフォンやパソコンを日常的に扱うようになった昨今、いじめはむしろ巧妙化しているとさえいえ、大人の想像を超えるものも少なくないのが現状だと思います。

もしも、我が子から「学校に行きたくない」と告げられた場合、ほとんどの親御さんが戸惑うはずです。

我が子の苦しみを和らげたいと思いつつも、中学校までは義務教育である他、子どもの将来への懸念から迷うところでしょう。

しかし、不登校は珍しい問題ではなく、同じような悩みを抱える親御さんは多いです。

本記事では、不登校の児童・生徒の推移や我が子が不登校になったときの対応方法などについて解説します。

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まずは、こども家庭庁「令和5年度 我が国におけるこどもをめぐる状況及び政府が講じたこども施策の実施状況」(令和6年版こども白書)から、現代における小学校、中学校、高校における「不登校の状況」を見てみましょう。

調査結果によると、2022年における小・中学校の不登校児童・生徒数は最多。

1.7%の小学生、約6%の中学生が学校に通っていない状況だとわかります。

また、高校生については2%近くの生徒が学校に通えていません。

読者の方の中には1993~1995年頃に児童・生徒だった人も多いと思われます。この頃は不登校の小学生は1%に満たない割合でした。また、中学校における不登校の生徒の割合も2022年(約6%)の約3分の1程度です。

こうしたギャップからも「学校に行けない子どもはあまりいない」と先入観を抱きがちですが、決してそういうわけではありません。

注目すべきなのは、いつの時代においても、中学生で不登校になる子どもは小学生・高校生より多い傾向にあるということです。

中学生は子どもでありながらも大人のような一面もあわせもっている複雑な年頃。周囲のことをよく理解できる年頃なので、社会におけるさまざまなことを知る中で絶望感を抱くこともあります。

そして、周囲と自分を比べて、コンプレックスを自覚しがちな時期といえるでしょう。さらに、大人であれば控えるような発言や言動で他者を傷つけることもあります。

こうしたことからも、学校内でのトラブルは少なくなく「学校に行きづらい」と思う生徒が後を絶たないのかもしれませんね。

次の章では、学校以外の居場所について深堀りしていきましょう。

●子どもの居場所は学校以外にも必要? 「居場所」を求める子どもたち

前述のこども家庭庁が公表した調査結果では、子どもたちが居場所を求めているかや居場所を持っているかどうかも明らかにされています。

「家(普段寝起きをしている場所)や学校(授業や部活、クラブ活動)以外に「ここに居たい」と感じる居場所がほしい」と回答した人は全体の79.9%におよびました。

子どもにとって多くの時間を過ごす学校は世界のすべてになりがちですが、そのようなことは決してありません。

学校に友人がいない児童・生徒であっても、気の合う友だちが別のコミュニティには多くいる人もいます。このため、周囲の大人が世界を広げてあげることで、救われる子どもがいると思います。

また「家(普段寝起きをしている場所)や学校(授業や部活、クラブ活動)以外に、「ここに居たい」と感じる居場所」については、居場所を求めつつも「ない」と回答した人が1割程度いました。

求めているのにも関わらず居場所がないと自覚している状況はとても寂しく、つらいものだと察します。

大人であれば習い事をはじめたり、SNSにアクセスしたりと、自力で人の中に入っていくこともできると思います。

しかし、保護下にあり、経済的に自立していない子どもが独力で居場所をつくるのには限界があるでしょう。

また、さみしさを抱えた子どもが居場所を単独で模索していると、事件に巻き込まれる可能性もあるので注意が必要です。

次の章では、学校以外の居場所について深堀りしていきましょう。