開場100周年「阪神甲子園球場」現地に通い続けるヒロド歩美に聞いた「甲子園の楽しみ方」

AI要約

阪神甲子園球場は2024年8月1日で開園100周年を迎える聖地であり、高校野球や阪神タイガースの本拠地として知られる。

ヒロド歩美さんは『熱闘甲子園』のメインキャスターであり、高校野球ファン&阪神ファンとして甲子園の楽しみ方を紹介している。

高校野球の魅力は一球一球の展開や選手たちの感動的なストーリーであり、甲子園での試合は予測不能な展開が多い。

開場100周年「阪神甲子園球場」現地に通い続けるヒロド歩美に聞いた「甲子園の楽しみ方」

2024年8月1日で開園から100周年を迎える阪神甲子園球場。言わずと知れた高校野球最大の聖地であり、阪神タイガースの本拠地でもあります。今回は、『熱闘甲子園』のメインキャスターを務め、自身もいち高校野球ファン&阪神ファンのヒロド歩美さんに、ヒロドさん流の甲子園の楽しみ方をお聞きしました。

※情報は、『FRaU S.TRIP MOOK 未来へつづく旅「神戸・兵庫」へ』発売時点(2023年12月)のものです。

大人たちが夢中になるスポーツ、それが高校野球だ。その熱は年々高まりを見せ、強豪校同士の好カードともなればチケット入手すら困難なほど。なぜファンは聖地を目指すのか。甲子園に通いつづけるヒロドさんに、その魅力と現地での作法を聞いてみよう。

「甲子園は一球一球、プレーごとで球場の雰囲気……『表情』が変わるんですよ」

成長途上の選手たちによる野球ゆえの予想できない展開は、高校野球ならでは。その典型的な試合とヒロドさんが振り返るのは、2018年夏の甲子園準々決勝、金足農業VS近江の一戦。エース・吉田輝星(現・オリックス)を軸にフィーバーを巻き起こした金農が、伝説に残る2ランスクイズでサヨナラ勝利した試合である。

「金農のプレーも素晴らしかったですが、林優樹くん(現・楽天)と有馬諒くん(現・関大)という敗れた近江の2年生バッテリーの姿も印象に残り、継続的に取材することにしたんです。2人は悔しさをバネに翌年も甲子園に出場。取材をつづけてよかったと思いました」

「涙」が印象的だったのは、2019年夏の甲子園で準優勝した星稜のエース・奥川恭伸(現・ヤクルト)。

「2年生夏の甲子園での敗戦、3年生夏の石川県大会決勝、そして甲子園の準優勝と、悔しさから喜び、安堵感まで、いろいろな彼の涙を見ました。たとえば甲子園の決勝戦で敗れた後の涙は、試合直後は平気な顔をしていたのに中学時代の恩師に声をかけられて初めて泣いていました。感謝の涙だったんですね」

ヒロドさんには、そんなたくさんのシーン、印象に残った言葉、取材メモなどを書き記したオリジナルの高校野球ノートがある。その名も「高校野球本」である。

「印象に残っているのは『あなたにとって甲子園とは?』という質問への回答。松坂大輔さんが『ひとりでは勝てない場所』と表現してくれました。松坂さんが話すと、重みがありますよね」

1998年、獅子奮迅の熱投でチームを甲子園春夏連覇に導いた横浜高校時代の松坂さん。その姿は甲子園のヒーローそのものだった。だが本人はチームメイトやたくさんの支えてくれる人びとの力がなければ勝てないと感じていた。それこそが連覇の要因だったのだろう。

この「高校野球本」しかり、インタビューでも「書き魔」の一面が伝わってきたヒロドさん。コロナ禍で取材に制限があった2020年は、球児と手紙でやりとりをしていた。

「いただいたお返事はすべてファイリングして保管しています。春夏の甲子園が中止になった2020年は自分のなかでは一生やりたくない取材でした。だからこそできることを、と手紙での交流をはじめたんです。読み返すと内容は十人十色ですが、ほとんどの球児は『これをバネにしたい、振り返ってみんなで笑えるようにしたい』という気持ちを伝えてくれました。あらためて高校球児の強さを感じたできごとでしたね」