釣り糸「PEライン」とは。 メリット・デメリットと使用上の注意を解説

AI要約

PEラインは釣りの進化に大きく貢献し、感度や強度に優れるが擦れに弱い。ショックリーダーを使用することでデメリットを補うことができる。

PEラインはナイロンラインと比べて伸び率が少なく感度が高いため、ルアーフィッシングに適している。

PEラインの直線強度は高く、細いラインを使用することで遠投が可能となり、釣果を向上させることができる。

釣り糸「PEライン」とは。 メリット・デメリットと使用上の注意を解説

釣り糸の進化は釣りそのものの進化と言え、その影響力は竿やリール以上と言っても過言ではありません。特に、PEラインがもたらしてくれた恩恵は計り知れず、PEラインの登場により、ルアーフィッシングは飛躍的に進化しました。

この記事では、PEラインの魅力と、使用する上での注意点を解説します。

PEラインとは、ポリエチレン製の糸を複数本撚って(よって)作られた釣り糸です。

2024年現在では糸を4本または8本撚ったものが主流で、一部ハイグレード品に12本撚りがラインナップされています。

糸の本数が多いほど断面が真円に近くなり、また直線強度が増す特徴があります。

◆代用の効かない魅力

PEラインが持つたった2つの魅力が、釣りを大きく進化させたといっていいでしょう。

今回は、最も標準的であらゆる釣りに使用されるナイロンラインと比較した際のメリットを紹介します。

・伸び率の少なさによる絶大な感度

伸び率とは、ラインを引っ張って、切れる瞬間にラインがどれほど伸びていたかを示す割合です。

また、ルアーを動かすといった負荷のかからない場面でもラインが伸び縮みをしやすいかどうかを、伸び率は示してくれます。

ナイロンラインの伸び率は、30%前後です。

PEラインの伸び率は4%前後なので、ナイロンラインと比べると「桁違いに伸びない」と言えます。

糸電話を想像してください。てください。伸びやすい糸よりも張っている硬い糸の方が、音の伝達はいいですよね?

これと同様に、伸び率の少ないPEラインは非常に感度が良くなり、水中の情報が手元によく伝わります。

これにより、数十メートルも遠方のルアーの動作や、魚のわずかなルアーへの反応を感知できるようになります。

釣果への影響はもちろん、感度は釣りそのものを面白くしてくれる要素となっています。

・極めて高い直線強度

直線強度は、ラインに結び目がない状態で引っ張り、どのくらいの負荷で破断するかを示します。

なんと、PEラインの直線強度はナイロンラインの3~6倍にもなります。

これは見方を変えれば、同じ強度のラインにおいては、PEラインの方が圧倒的に細いラインを使用できるということになります。

ラインを細くするとキャスト(ルアーを投げた)時にラインが受ける風の抵抗が減り、ガイド(竿に取り付けられたラインが通るリング)の抜けも良くなり、結果飛距離が大きく向上します。

PEラインが登場した現在では、ルアーによっては100m以上も遠投できるようになり、ナイロンラインでは釣れなかった魚を釣ることができるようになりました。

◆実はデメリットも……

・擦れに弱い

魚とのやり取りで、水中の岩などにラインが擦れたとします。

ナイロンラインでは「ある程度摩耗しながらも切れずに耐える」という場面でも、PEラインの場合は擦れるとほぼ同時に破断してしまいます。

繊維の集合体であるPEラインは、擦れると細い繊維の1本1本が瞬く間に切れてしまうのです。

・著しく弱い結束強度

結束強度は、ラインを結んだ状態で引っ張り、結び目がどのくらいの負荷で切れるかを示します。

直線強度に優れたPEラインですが、実は結び目を作ると簡単に切れてしまいます。

PEラインの結束強度は、ナイロンラインのおよそ50%ほど。簡単に言えば、ルアーなどをPEラインで結ぶと、強度は半分以下に低下してしまうことになります。

・デメリットを補うショックリーダー

代用の効かない大きなメリットのあるPEラインですが、一方で上記のデメリットは釣りをする上では致命的と言えます。

しかし、そのデメリットは緩衝用のラインであるショックリーダーを使用することによって補うことができます。

PEラインに代わってショックリーダーをルアーと結ぶことで結束強度を補い、結んだ長さの分だけ岩などへの擦れに備えることができます。

PEラインとショックリーダーのノット(結び方)は数えきれないほど考案されてきましたが、今回はその中のひとつを紹介します。

・10秒ノット

「10秒で結べる」というと少し大げさですが、比較的簡単に結ぶことのできるノットが「10秒ノット」です。

ループを作ったショックリーダー(白)に、折り返したPEライン(赤)を添えます。

PEラインを、ショックリーダーに10回程度巻き付けます。

この巻き付け部の摩擦力が、結束強度を発揮します。

巻き付け部が重なると「結び目ができた状態」となり、強度が弱くなってしまうので気を付けましょう。

ショックリーダーのループにPEラインを通します。

PEラインとショックリーダーを引っ張り、締め付けます。

ハーフヒッチ(ひと結び)を5回ほど繰り返します。

あくまで結束の強度を発揮するのは巻き付けたPEラインで、このハーフヒッチは巻き付け部がほどけないための補強です。

ハーフヒッチを施すPEライン本線は直線になっていて、結び目はできていないことがミソです。

仕上げに余分なラインを切って完了です。

実際のラインで結んでみると上の写真のような感じになります。

◆メリットの多いPEライン、使ってみよう!

PEラインは初心者の方にとっては少し難しく感じるかもしれませんが、他のラインでは代用の効かない魅力があります。

より優れた道具を使用することは、初心者にとってステップアップの近道です。ぜひお試しください。

私が書きました!

釣りの探究者 志田 こうたろう

30代、2児の子育て中の釣り大好きパパ。 幼少から釣りに触れていたものの、”趣味としての釣り”をするようになってからは10年を越えたところ。 子どもたちの成長と共に少なくなる一方の釣行を、可能な限り有意義なものにしようと奮闘中。 シーバス、ライトソルト、渓流・本流トラウトなどのルアーフィッシングを楽しみ、夏は特に好きな鮎の友釣りで川に入り浸る。Youtubeチャンネルあります。