「海のはじまり」の脚本家・生方美久が自己分析。自分の描きクセは「家族」とか「命」にある

AI要約

脚本家・生方美久さんが綴る、ドラマ制作の裏側や脚本家としての日々を綴ったエッセイ。最新作「海のはじまり」の製作状況や過去の経験について触れられている。

生方美久さんが脚本家としてのキャリアや脚本の執筆過程、シナリオコンクールでの経験について振り返る。自らの成長や向上について述べられている。

記事の終盤では、脚本家としてのやりがいや将来への展望に触れながら、今後の挑戦に向けて準備を進めている様子が伺える。

「海のはじまり」の脚本家・生方美久が自己分析。自分の描きクセは「家族」とか「命」にある

令和の清少納言を目指すべく、独り言のようなエッセイを脚本家・生方美久さんがお届け。 生方さんが紡ぐ文章のあたたかさに酔いしれて。【脚本家・生方美久のぽかぽかひとりごと】

現在、脚本を担当したドラマ「海のはじまり」が放送中です。これを書いている今は、3話が完成した翌日。日々撮影や編集、打ち合わせなどが並行して進み、スタッフもキャストも忙しい毎日を過ごしています。が、わたしは一足お先にスケジュールに余裕が生まれました。実は初回放送の数日前に最終話の初稿が完成していまして、一日十数時間パソコンに向かう地獄の日々を脱却したのです! ドラマが終わっても登場人物たちはどこかに在り続けますが、ドラマとしての行きつく先はもう決まっています。最後まで夏くんや海ちゃんを見守っていただけたらうれしいです。あー、長かった。連ドラは長い。こんなに書いていた期間を長く感じるのに、放送が始まるとあっという間なんですよね。連ドラのそんなところもすきです。あぁ、長かった……。お疲れさまでした……。

と、想い出に浸りたいところですが、脱稿はしていないので「海のはじまり」と向き合う日々は続いております。山々に囲まれた海なし県で生まれ育ち、カナヅチでまったく泳げないこの脚本家……一生懸命に“海”と向き合っています。

というわけで、隙間時間でパソコンのデータ整理なんかをしてみた。家にデスクトップがあるわけでもなく、ノートパソコン一台を商売道具に戦っているので、こいつが機嫌を損ねたら何もできなくなる。だからそろそろ買い替えたい。データが突然吹っ飛ぶのも怖いので、ドンキで新調したUSBに片っ端からぶち込んだ。そんな過程で、懐かしいなぁ~と過去の作品を眺めていたら、脚本家の仕事として書いた原稿より、シナリオコンクールに応募した原稿のほうが圧倒的に多くて驚いた。自分の経歴の浅さを痛感したし、あの日々のお陰で夢が仕事になったと実感した。

脚本家になる方法はいろいろあって、わたしの場合はシナリオコンクールで入賞したのがきっかけだった。初めて賞をもらったのは2019年のこと。伊参スタジオ映画祭シナリオコンクールで奨励賞をいただいた。その脚本を久しぶりに読み返し、まず抱いた感想は「下手くそだなぁ……」。そして次に「変わらないなぁ……」だった。