プラモ塗装の必携ツール「エアブラシ」の種類と選び方【達人のプラモ術<エアブラシ編>】

AI要約

プラモ製作における欠かせないエアブラシについて解説します。

エアブラシの歴史や普及の背景、初期のエアブラシ「ピースコン・ヤング」についても触れます。

エアブラシの基本的な使い方やメンテナンス方法も紹介します。

プラモ塗装の必携ツール「エアブラシ」の種類と選び方【達人のプラモ術<エアブラシ編>】

さて今回の達人のプラモ術は、プラモ製作ではなく模型塗装では欠かせない存在とも言えるツール“エアブラシ”について解説していこうと思います。

達人の模型塗装でも必ずと言っていいほど登場するエアブラシは、プラモ塗装のクオリティと表現の幅を広げるのに欠かせない塗装ツールです。現在では塗装用途に応じて多くのバリエーションモデルがあり入手しやすくもなりました。

プラモ塗装をより楽しみたい、よりクオリティの高い塗装に仕上げたいとなれば必携ツールとなっていると言って良いでしょう。

そこで今回は、達人的エアブラシの選び方、使い方、メンテナンス等といったHowToを3回連続で紹介していきます。使って見たいと考えている方、エアブラシの購入を考えている方必見ですよ!(全3回の1回目)

エアブラシはもともと模型塗装用ツールではなく、写真の修整やアートの分野で使われていたものです。歴史は意外に古く、1876年に塗料を霧にして吹き付けるツールとして特許が所得されてるんですね。知らんかった(爆)。

圧縮した空気を使うことで塗料を霧状に噴霧できるエアブラシ。缶スプレーと違うのは、塗料の吹き付け量をコントールできる、色を入れ替えられる、といった点です。

ムラのない塗装面、筆や刷毛では得られない極細線のボカシやグラデーションなど、多彩な表現ができる塗装ツールとして改良進化。現在ではホビーのペイントをはじめ、ファインアート・ネイルアート・メイクなど広い分野で使われています。

国内でプラモデル塗装用としてエアブラシが広く使われるようになったのは1970年代の後半だったと記憶しています。

当時、プラモデルの塗装は筆塗りが当たり前。模型用の缶スプレー塗料だってまだまだ登場したばかりの時代ですから、筆でペタペタプラモデルを塗っていた中学生に、自在に塗装をこなせるエアブラシの存在は衝撃でした。

とは言うものの、達人は当時まだ中学生。プラモデルが50~500円、塗料も50円(レベルカラー)で購入できた時代です。そんな時代にエアブラシの価格は1万5000円前後と、とてもじゃないけれど中学生に手ができるものではありませんでした。

しかしそこに救いの手が登場しました。国内でエアブラシの製造販売をしていたオリンポス(※1)から、安価なエアブラシ「ピースコン・ヤング」が発売されたのであります。

多くの模型店で販売され、ホビーシーンでエアブラシ普及に大貢献した名機です。価格は確か5000円でした。アート用のエアブラシと比べて安いとは言っても100円のプラモデルを買うのに1時間悩む中学生にとって5000円ってのは超高価アイテムだったことは言うまでもありません。

今でこそ、さまざまなモデルがあり、価格もこなれて、選択肢も多いエアブラシですが、当時のモデラー的には、ほとんどコレ一択。この「ピースコン・ヤング」でエアブラシデビューを果たしたという人は多いはずです。かく言う達人も清水の舞台から岩を抱えて飛び降りる決意で、小遣いを貯めて「ピースコン・ヤング」を購入しました。

「ピースコン・ヤング」はシングルアクション(※2)で、塗料を入れるカップは右側に設けられたサイドカップ式。エアブラシ本体を専用のエアボンベに直接取り付けて使用するタイプでした。塗料の噴出量はニードル後端のノブを回して調整します。別売りのジョイントを使えばホースをコンプレッサーに繋ぐことができましたが、当時はコンプレッサーも高価(4万円前後)で、当然ながら中学生に買えるものではありませんでした。

基本は圧縮エア(フロンガス)を使った専用のエア缶を繋いで使ってました。購入時に1本付属。しかしこれがすぐになくなってしまうんですよ。塗装だけでなく、塗料を変える際の洗浄でもエアは使います。まぁ当時、塗装の腕もなくロスも多かっとはいえ、付属の420ml缶では1/72スケールの飛行機を一機塗ることもできませんでした。

もちろんエア缶は単体で購入できましたが、当時で700円前後とそれなりに高価だったんですねぇ(おバカ中学生だった達人は、缶を逆さまにして吹くと出る生ガスで『冷線砲発射!』などと遊んでいたので、肝心の塗装時にはガスが足りなくなりました)。

また連続してエア缶を使っていると、気化熱で缶が霜が付くくらい冷たくなり、エア圧が低下してしまうのにも泣かされました。それでも、筆塗りに比べて塗装がキレイに仕上がるエアブラシは手放せない存在になりました。

エアブラシは基本的なメンテナス(摩耗するOリングの定期的な交換などを含む)をしっかりとやっていれば、10~20年は問題なく使い続けることができるツールです。

(※1)オリンポス社

国内の老舗エアブラシメーカー。2008年、オリンポス社は営業活動を停止。2014年3月末に会社も廃業している。現在は同社の元スタッフにより通販サイトが運営されており、在庫がある製品は現在でも入手可能となっている。

>> オリンポスエアーブラシオンラインショップ

(※2)シングルアクション

ボタンを押すだけでエアーと塗料が同時に出るタイプのエアブラシ。塗料の噴出量は後端のダイヤル状のノブを左右に回すことで調整できる。構造がシンプルなので扱いやすいが、吹いた後に吐出量調整ノブを閉め忘れるとノズルから塗料が垂れてしまうという弱点がある。