普段着の「浴衣」も工夫次第で「着物風」の着こなしに…着物屋の主人が教える「とっておきのテクニック」

AI要約

浴衣を着てもマナー違反にならない方法として、浴衣を着物風にアレンジすることが紹介されている。

浴衣と着物の違いや着物風にするポイントが解説されている。

具体的な着物風のポイントとして、半襦袢や帯締め、名古屋帯などの着用を挙げている。

普段着の「浴衣」も工夫次第で「着物風」の着こなしに…着物屋の主人が教える「とっておきのテクニック」

花火大会や神社のお祭りなど、夏のイベントとは切っても切り離せない浴衣だが、「浴衣を着て近所以外の場所へ出かけるのはマナー違反にあたる」という説をしばしば聞くこともある。浴衣のままで出かけてもいい具体的な「境界線」については、前編記事〈「浴衣」を着て花火大会やお祭りに出かけるのはじつは「マナー違反」だった…?着物屋の主人が考える「正解」〉で紹介した。

しかし、折角なら浴衣姿のまま、いろいろな場所に出かけたいもの。その希望を叶える良い方法を、呉服店「和想館」の経営者で、著書『君よ知るや着物の国』がある池田訓之氏に解説していただいた。

浴衣は現代では手軽な「普段着」となりましたが、出かけるにはちょっと気がひける場面も少なくありません。

しかし、折角だからこの時期にしか着られない浴衣を着て気にせずお出かけしたい、という方もたくさんいらっしゃると思います。

どうすればいいのか?ずばり浴衣を夏の着物風に着てしまえばいいのです。浴衣を着物に見えるように着こなすことで、出かけられる範囲が広がるというわけです。私の店には、毎年新卒の新入社員が入ってきますが、夏場は頻繁に洗濯が必要だし、かといってまだたくさん夏着物をもっていないので、浴衣を着物風にアレンジして着ています。

そもそも、浴衣と着物は何が違うのか?日ごろ着物を着慣れていない方には、違いがすらすらと出てこないと思います。そうなのです、一見するとそんなに違わないのです。違わないから、着物風に見せるのは意外と簡単なのです。

細かなことを言えば、衿の仕立て方、素材、生地の織り方など違いはありますが、遠目で一番の違いは柄、紋様だと思います。普段着にあたる着物を「小紋」と呼びますが、これに対して浴衣のことをかつて「中紋」と呼んで区別していました。紋様の大きさが「小」紋に対して「中」紋、つまり大きめなのです。

今の浴衣は色々な紋様のものがあり、紋様のない「無」地のものまであります。ですから、紋様のひかえめなものを選ばれると、着物と判別しづらくなります。

また、着物は、着物に体の皮脂や化粧がつかないように着物の下に長襦袢(ながじゅばん)という衣を着るのですが、上半身だけの略式の半襦袢(はんじゅばん)というものもあります(半襦袢の方が涼しいので夏の時期にはおすすめです)。この半襦袢を浴衣の下に着て衿を二重に出す。

そして足袋を履けば、それだけで着物風に見えます。

加えて、帯締めを飾りでしめる、下駄の代わりに草履を履く、より軽くてカジュアルな半巾帯(はんはばおび)の代わりに幅の広い名古屋帯を締める。

浴衣の上に羽織を着るなどすれば、もうすっかり着物姿です。