電気アイロン誕生から100年…東芝のハイブリッド型が「360度」実現でまた進化(多賀一晃/生活家電.com)

AI要約

夏はクールビズが当たり前になり、衣類スチーマーが便利になってきている。

アイロンは必要な場面もあるが、衣類スチーマーの方が使いやすいとされる。

東芝が360度対応のハイブリッド型アイロンを発表し、アイロンの進化が続いている。

電気アイロン誕生から100年…東芝のハイブリッド型が「360度」実現でまた進化(多賀一晃/生活家電.com)

【家電のことはオイラに聞いて!】#59

 令和の時代、夏はスーツなしのクールビズが当たり前。学生もハーフパンツが制服になったり、“きちんとした”衣類が少なくなりつつあります。アイロンがなくても、なんとかなるかもしれない時代。シワのばし用に衣類スチーマーさえあれば、だいたいオーケーです。

 それでも、冠婚葬祭ではピシッとした衣類が必要。シワがなく、折り目もついている必要がある。

 アイロンさえあれば、シワのばしも折り目も対応できます。しかし、アイロンはアイロン台がなければ実力が発揮できませんし、使うのはちょっと手間です。このため、衣類スチーマーの出番がどうしても多くなります。

 洋服の本場・欧米では、アイロンはアイロン、衣類スチーマーは衣類スチーマーと、それぞれ専用機が当たり前です。

 しかし日本のメーカーは、消費者があまり使わないものには力を入れません。衣類スチーマーとしても使えるハイブリッド型のアイロンで対応します。

 ところが使い勝手が良い製品がなかなかありませんでした。理由は「水」です。衣類スチーマーは垂直に立てて使うスチームアイロンというべき製品。普通のアイロンは、掛け面の上に水タンクを設けます。タンクの水が重力に従い、下へ下へと移動するので、うまく導いてやれば、ポンプなど、特殊な装置を用いる必要がありません。

 それを縦にするとどうなるのか。まず、水は下に移動します。狭いルートに誘い込むようにしても、水は上がってこないので、ポンプが必要になります。使用時にまっすぐ持って上下に動かすだけなら、シンプルな構造でよいのですが、そうすると掛け面の狭幅部でスチーム面だけを使うことになります。横にしたいのが人情ですが、そうすると蒸気が出なくなったり、ひどい場合は水がポタリと滴ります。

■しわ伸ばしに集中すると…

 このためメーカーも工夫し、左右60度ぐらい(計120度角)までなら問題ないようにしています。悪くはないのですが、しわ伸ばしに集中すると限度角を超えてしまいます。やっちまったという感じで、イラッとします。

 ところが、今年、東芝は360度対応のモデルを発表しました。テストをするとエアアイロン台の上を自在に操る感じです。問題はなく、とても気持ちよく使えました。

 当モデルは、スチーム温度だけでなく、アイロン面の温度も布の種類により高・中・低と変えられます。小型ながら本格的な性能です。

 国産初の電気アイロンは1915(大正4)年に、東芝の前身である芝浦製作所が作りました。それまでの炭火アイロンと異なり、使いやすいことから重宝されました。

 それから約100年。使いやすいハイブリッド型の登場で、アイロンはまた一つ進化しました。

(多賀一晃/生活家電.com主宰)