論理的思考力が高い人ならすぐ解ける。「メンタルローテーション」パズル4問
メンタルローテーションは、頭の中で物体を回転させる能力を指し、日常生活でも活用されている。
メンタルローテーション力を高めることで、垂直思考や水平思考などの思考法が向上し、問題解決能力が高まる。
池谷裕二教授によると、巧みな視点の移動が垂直思考と水平思考に共通する要素であるという。
「メンタルローテーション(心的回転)」という心理学の用語があります。
聞きなれない言葉ですが、これは頭の中でイメージとして物体を回転させることを意味します。
こう聞いて、昔受けた知能テストを思い出す人もいるでしょう。テストでは、幾何学的な2次元・3次元図形をイメージだけで回転させないと解けない問題がいくつも登場しました。
そんなことをわざわざするのは、知能テストの世界だけだと思うかもしれませんが、実は誰しも日常的にメンタルローテーションを使いこなしているのです。
一例として、下の簡単なイラストを見てください。車は何番の場所に駐車しているでしょうか?
これは、香港の小学校で出されたクイズですが、ほとんどの人は、悩むことなくすぐに「87」と解答できるはずです。
意識はしていなくとも、このクイズを解くときに頭の中で、駐車場の数字を180度回転させています。これも立派なメンタルローテーションです。
メンタルローテーションは、生得的に備わった能力ですが、訓練によって上達させることができ、それに伴い日常生活や仕事の現場に役立つ能力も高まると唱えるのは、東京大学薬学部の池谷裕二教授です。
池谷教授は著書の『メンタルローテーション “回転脳”をつくる』 (扶桑社)の中で、その点について詳しく解説しています。
以下、具体的にどのような能力が高まるのか、紹介しましょう。
「垂直思考」と「水平思考」についてはご存じの方も多いと思います。
池谷教授の言葉を借りれば、垂直思考とは、1つの考えをステップを踏みながら徹底的に深く掘り下げる思考法。
一方で水平思考とは、論理的に考察を深めていくよりも、同じ現象をさまざまな角度から眺めたり、別々の問題に共通項を見出したり、どちらかと言えば自由で大胆な発想によって問題解決を図るやり方です。
池谷教授は、どちらの思考法にも「視点の移動」という共通項がある点を指摘します。
垂直思考では、考察を深めることに「奥へ奥へと視点を移動させるプロセス」があります。水平思考では、難問に対して「見方を変えることで再解釈」するアプローチをとります。
この2つの思考法は、どちらもメンタルローテーションから派生した能力であり、メンタルローテーション力のある人は、巧みな垂直思考と水平思考ができる素地がある人と言えそうです。