MoMoBooks (大阪) コロナ禍を経てめざす、誰にもオープンな「文化を発信できる場所」づくり

AI要約

大阪市のMoMoBooksは、コロナ禍を機にライブハウス従業員から本屋店主に転身した夫妻が運営する書店です。

場所は九条で、文化施設が集まる場所に位置しており、様々なイベントが開催されています。

店主の夫妻は共に大阪のライブスペースで働いていたが、コロナ禍を機に本屋をオープンし、誰にもオープンな文化発信の場を目指しています。

MoMoBooks (大阪) コロナ禍を経てめざす、誰にもオープンな「文化を発信できる場所」づくり

 各地のこだわりの書店を訪ねる連載「本屋は生きている」。今回は大阪市の「MoMoBooks」を訪ねました。コロナ禍が転機になり、ライブハウス従業員から転身した店主夫妻。ジャンルは絞らず面白そうな本を並べ「誰にもオープンな、文化を発信できる場所」づくりを目指しています。(文・写真:朴順梨)

 「この本屋が好きだ」と思う理由は、品揃えや居心地の良さなどいくつかあるが、「店の人と気が合いそう」というのもある。まだ会ったこともないくせにどう判断するのか? と問われそうだが、「志が同じと思しき人がよくイベントをしている」かは、大きな判断材料になる。

 大阪のMoMoBooksはこれまで何人もの友人知人がイベントを開催してきたし、実際に参加した人から「好きそうだから行ってみて」と勧められることがあった。そう言われたら行くしかないじゃないか!

 MoMoBooksがある大阪の九条は初めての場所だったが、安治川を挟んだ先の西九条から徒歩圏内には、以前訪ねたシカク がある。なのでなんとなく知っている場所のような気持ちで、大阪メトロ九条駅から歩くこと約5分。長屋が並ぶ小道の入口に、MoMoBooksの看板が置かれていた。

 周辺はザ・住宅街といった感じの場所だけど、なぜここに本屋を作ったのだろう? 店主の松井良太さんに尋ねると、家から近いだけでなく、九条には大衆演劇場や映画館のシネ・ヌーヴォなど、文化を求めて人が集まる場所があることがわかった。

 2023年3月にオープンしたMoMoBooksは、良太さんとパートナーの桃子さんの2人で切り盛りしている。店名の由来はこの時点で、うっすら想像がついた。2人はともに大阪のライブスペース、ロフトプラスワンWESTのスタッフだった。

 京都出身の良太さんは、20歳の時に大阪にやってきた。理由は、お笑い芸人修行をすべく、吉本のNSCに入るため。しかし1年で目標をリセットし、舞台を支える側になることを決めた。その後は大道具担当や芝居小屋などで働いていたが、2014年に大阪にもロフトができると聞いて、働きたいと思った。一方の桃子さんは広島出身で大阪の大学で学び、一度広島に戻り2011年から東京のロフトで働いていた。その後大阪に来ることになり、2人は出会う。

 日々繰り広げられるトークライブは刺激的だったが、2020年にコロナ禍が猛威を振るい、お客さんを会場に呼んでのイベントは中止を余儀なくされる。配信ライブが続く中、良太さんは「この先何をしようか」と思うようになったそうだ。

 「その時にふと、本屋を思いついたんです。ライブハウスはイベントを目当てにお客さんが集まりますが、チケットを持った人しか来ない。いわばクローズドな場所だし、入りにくさを感じている人もいると思うんです。誰にもオープンな、文化を発信できる場所はどこだろうと考えたのですが、それは本屋だとひらめいて」