巨大地震で「経済被害が東日本大震災の10倍超に」…10メートルを超える津波が襲う未来

AI要約

東日本大震災から始まり、能登半島地震などの震災が続く現代において、巨大災害への備えがますます重要となっている。

首都防衛の重要性や首都機能に与える影響、さらに南海トラフ巨大地震や富士山噴火などの災害想定について、2022年~2023年の事態を簡潔にまとめている。

政府や自治体が巨大災害への備えを進める中、日本全体に同時多発のダメージが広がる「大連動」が想定され、避難計画や対策が急務である。

巨大地震で「経済被害が東日本大震災の10倍超に」…10メートルを超える津波が襲う未来

2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。

もはや誰もが大地震から逃れられない時代、11刷ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。

(※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)

関東大震災から100年が経ち、国や自治体は人々の命を奪い、生活をひっくり返す大災害への備えに向けた検討を重ねている。

東日本から西日本の広範囲で甚大な被害をもたらす3つの巨大災害は、静かに、だが確実に迫る。注意しなければならないのは、その3つが同時期に発生すれば、被害は「1+1+1=3」にはならないことだ。

単発で発生すれば生産拠点を移したり、安全な地を求めて移住したりすることができるが、日本全体に同時多発のダメージが広がる「大連動」はそれを許さないだろう。

被害のレベルは「3」ではなく、「5」にも、「10」にも増大する可能性があるのだ。

日を増すごとに上昇する巨大災害の発生確率を前に、私たちはいま何ができるのか。そして、いかなる心構えと準備をしておくことが大切なのか。国家の危機が生じても、生き抜くための方法と準備を考える。

直下地震の到来が予想される首都・東京は2022年5月、被害想定を10年ぶりに見直した。

首都機能に大きなダメージを与えるM7.3の「都心南部直下地震」など8つのケースを想定し、発災直後から1ヵ月後までに起こり得る事態を時系列で示した災害シナリオを初めて盛り込んでいる。

電力や上水道といったライフラインは寸断され、通信や交通インフラがストップ。物資が不足し、救出・救助や被災地支援が遅れるなど被害が長期化する可能性も想定している。

そこから見て取れるのは、「私は大丈夫」と考えている人にも、自らが帰宅困難者になった場合や長期に及ぶ避難所での生活、ライフライン遮断などにいかに備えるべきかという心構えと準備の重要性である。

近隣県から一日300万人近くが往来し、海外からも観光客が押し寄せる首都に大地震が襲来すれば、そのダメージは想定を上回る事態を招く可能性も十分にある。

2023年4月、内閣府は南海トラフ巨大地震の被害想定見直しに着手し、M8級の巨大地震が連続発生するケースへの検討を重ねる。激しい揺れや大津波にいかに対処すべきなのか優先順位を練り直すものだ。

東海から九州にかけて巨大地震が生じれば、経済被害は2011年3月に起きた東日本大震災の10倍超にも達すると予想される。関東地方を含めた広い地域には10メートルを超える津波が発生し、太平洋沿岸は我が国が経験したことのないような甚大なダメージを受ける可能性が指摘される。

大地震の襲来だけではない。2023年3月には山梨、静岡、神奈川の3県と国などがつくる協議会が富士山の噴火を想定した新たな避難計画を公表した。避難の対象地域を6つのエリアに分け、気象庁が噴火警戒レベルを引き上げた場合などの対策を盛り込んでいる。

ある総務相経験者は「二つの大地震に加えて、富士山の噴火が我が国を襲えば国力は大きく減退する。明日、生じるかもしれないと思って対策と準備を進めるべきだ」と危機感を強める。今、国や自治体は巨大災害への備えに本気で向き合おうとしている。

つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。