「子どもは100人いれば100通りの言葉がある」子どもの有能性を信じる「まちの保育園」松本理寿輝さんが語る理想的な子どもの環境とは?

AI要約

練馬区にある先進的な取り組みが注目される「まちの保育園」。保育園はカフェも併設し、地域の憩いの場となっている。

「まちの保育園」では非認知的能力を育む取り組みが行われており、子どもの主体性を重視する姿勢が特徴的。

代表の松本理寿輝さんは、子ども時代の楽しさや価値を感じ、保育に興味を持った。保育園を通じて地域と子どもの学びや育ちを共に形成している。

「子どもは100人いれば100通りの言葉がある」子どもの有能性を信じる「まちの保育園」松本理寿輝さんが語る理想的な子どもの環境とは?

練馬区の住宅街に、先進的な取り組みで注目されている「まちの保育園」があります。カフェが併設されたその保育園は、地域に住む人達の憩いの場でもあるそうです。現在、六本木や代々木などに6つの園を運営する「まちの保育園・子ども園」。代表を務める松本理寿輝さんに、お話を伺いました。

近年、子どもの教育において注目されている「非認知的能力」。子どもが人生を豊かにしていく上で必要な能力のことで、日々の生活や遊び、周囲との関わりの中で育まれていくものとされています。

では、子どもたちの非認知的能力を高めるためには、どんなふうに関わっていけばよいのでしょうか? そのヒントがあるのが、子どもたちの主体性を重んじる認可保育所「まちの保育園」です。

子どもは生まれながらに創造性とアイデアに満ちていて、「できない」存在ではなく「できる」存在である。子ども時代は“準備期”ではなく、人間性の土台を築く大切な時期である。そんなまなざしで子どもをとらえ、さまざまなアプローチで子どもの非認知的能力を育んでいく。そんな「まちの保育園」ならではのユニークな取り組み、保育への姿勢が、いま少しずつ広がりを見せています。

――大学時代に児童養護施設を訪れたことがきっかけで保育に興味を持ったそうですが、もともと子どもがお好きだったのでしょうか?

松本理寿輝さん(以下敬称略):僕は東京郊外のニュータウンで育ったのですが、丘陵地帯を開発した土地なので山が残っていたり、公園もたくさんあって、当時は子どもの数も多かったんです。みんなで野球をしたり、秘密基地を作ったり。子ども社会というか、子どもの文化が形成されていて、それが自分なりの良い経験として残っていたんですね。

憧れのお兄さん・お姉さんみたいな人がいたり、いわゆる反面教師的な、こんなふうにはならないようにしようと思う人もいたりして、そこには子ども同士のコミュニティがあったんです。

大学時代に児童養護施設を訪れた際、子どもと関わることが人生のテーマとしてピンときたのは、多分そういった子ども時代の文脈が自分の中にあり、子ども期の面白さや子ども期を充実させる価値を実感していたことが大きかったと思います。それで、もっと子どもを知りたい、環境を理解したいと思いました。

――そしてご自身で教育や保育について学びを深め、「まちの保育園」を作るに至ったんですね。

松本:「まちの保育園」を作りたいと思ったときに、二つの思いがありました。一つは、“子どもたちの学び、育ちを地域とともに”ということ。もう一つは、園自体がまち作りの拠点、いわゆるウェルビーイングの拠点になっていけるんじゃないか、ということです。

保育園は、社会や文化を作っていく、主体の担い手としても存在するのではないかという思いがあって。子どもたちは、地域の人たちと出会って、いろいろな学びや育ちを支えてもらっていますが、地域の人たちにとっても、子どもを通じて地域社会に能動的に関わることができる。そうすると地域主体のまち作りもできるし、まさに今の言葉で言う「こどもまんなか」になっていくんじゃないかなと。

理想的な子どもの環境作りは、理想的な社会作りと一緒だと思っています。