倉田真由美さんが明かす夫の最期「昏睡状態の夫の顔を見ながら願ったこと」

AI要約

倉田真由美さんが夫の叶井俊太郎さんのすい臓がんとの闘病生活を振り返り、夫の最期について語る。

夫の急変から最期までを優しく見守る倉田真由美さんの心情。

夫が再び余命宣告を受けて、倉田真由美さんが思うこと。

倉田真由美さんが明かす夫の最期「昏睡状態の夫の顔を見ながら願ったこと」

 夫の叶井俊太郎さんがすい臓がんにより旅立ってから5か月、妻で漫画家の倉田真由美さんは涙を流さない日はない。それでも「時間がたったおかげです」と、夫が旅立つその刻を振り返り、克明に明かしてくれた。夜明けまでもたないかもしれない――その後のエピソード。

漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。お笑い芸人マッハスピード豪速球のさかまきさん原作の介護がテーマの漫画『お尻ふきます!!』(KADOKAWA)ほか著書多数。

夫の叶井俊太郎さんとのエピソードを描いたコミック『夫のすい臓がんが判明するまで: すい臓がんになった夫との暮らし Kindle版』 『夫の日常 食べ物編【1】: すい臓がんになった夫との暮らし』は現在Amazonで無料で公開中。

 訪問医も帰って、部屋は私と夫の二人きり。介護用ベッドに横たわる夫は、いつもの寝顔とは違う顔で荒い呼吸を繰り返していました。ただ寝ているのではない、昏睡状態だったのだと思います。

「夜明けまでもたない」

 ついさっき医師から言われた4度目の余命宣告。

 私はつい数時間前、シャワーを浴びたばかりの夫と交わした言葉や夕食にマグロやイカの刺身を食べていた夫の姿を思い出していました。

 あんなに普段通りだったのに、いきなりいなくなってしまうの?歩けなくなったり話せなくなったりもっといろんなことができなくなって、いなくなる覚悟をするのはそれからじゃなかったの?

 ただ、S先生が来るまで間断なく襲ってくる吐き気と闘っていた姿よりは、楽そうには見えました。寝息は荒いけど、痛かったり苦しかったりがないなら、夫はそれを一番恐れていたから、そうじゃないといいなと夫の顔を見ながら願いました。

 普段、私は別室で寝るんですが、この日は夫の側で横になりました。いつも夫が座っている座椅子に身体を伏せながら、まんじりともできませんでした。