“完璧な音楽家”ガーシュウィンの、音楽による旅日記『パリのアメリカ人』【クラシック今日は何の日?】

AI要約

20世紀アメリカを代表する作曲家、ジョージ・ガーシュウィンの生涯と作品について。

パリ旅行中にインスパイアされて生まれたガーシュウィンの作品『パリのアメリカ人』について。

ガーシュウィンの個性が光る作品から、ラヴェルとのエピソードまでを紹介。

“完璧な音楽家”ガーシュウィンの、音楽による旅日記『パリのアメリカ人』【クラシック今日は何の日?】

難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。

今日7月11日は、20世紀アメリカを代表する作曲家、ジョージ・ガーシュウィン(1898~1937)の命日です。

クラシック音楽にジャズの要素を盛り込んだ『ラプソディ・イン・ブルー』を成功させたガーシュウィンは、クラシックの作曲技法を身につけるべく、1928年にヨーロッパ旅行を実現します。

パリにおいては、ラヴェルやストラヴィンスキーなど、時代の最先端をゆく作曲家たちと交流。その旅行中に体験した、パリの日常的な風景からインスパイアされて生まれたのが、パリの街中を散歩する、一人のアメリカ人観光客を“主人公”にした『パリのアメリカ人』でした。

作品から聞こえてくるのは、大通りでタクシーが鳴らすクラクションの音やミュージックホール前の喧騒、そして夜の情景などなど。ガーシュウィンの個性が生かされたこのすばらしい作品を聴くと、師事することを希望したガーシュウィンに、「二流のラヴェルになるよりも、自らの道を進みなさい」と諭したラヴェルの慧眼が理解できます。

一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。