「悪人も善人もいない」子どもたちに政治について、正しく話す方法とは?

AI要約

子どもと政治の話をすることは大切であり、親が子供たちの日常生活と関連づけて話題を振ることが重要。

子どもたちは政治に関心を持ち、親子で一緒に話し合うことで子供たちの意見形成を促すことができる。

児童文学作家の提案によると、子ども雑誌や児童書を通じて政治の話をするのも一案であり、親子で共に学ぶことが大切である。

「悪人も善人もいない」子どもたちに政治について、正しく話す方法とは?

フランスでは下院選挙の真っ最中。子どもと政治の話をすべきか悩む親のために、フランスの「マダム・フィガロ」誌が、教育心理学の専門家であるクレール・ルコント氏と児童文学作家のソフィー・ラムルー氏からアドバイスをもらった。

子どもと政治の話をする親は少ない。幼すぎて理解できないだろう、どうせ関心がないだろうと親側が思ってしまうからだ。のびのびと無邪気に子ども時代を謳歌している彼らに「深刻な」話題を振りたくなくて、あえて避けている節もある。だが実際は親が思っている以上に子どもは政治に興味を持っている。教育心理学の名誉教授であるクレア・ルコントは次のように語る。「年中さんぐらいの年齢から、子どもは政治に関連した質問をするようになります。純然たる政治の話ではなく、暮らしに関係する部分での疑問です。子どもたちは政府の決定が自分たちの生活に影響を及ぼしていることを感じています。だから、誰がお店の商品の値上げを決めるのか、といった質問をしてくるのです」。6月9日の欧州連合の議会選挙で右翼政党の「国民連合(RN)」が歴史的勝利を収め、これに対抗する形でマクロン仏大統領が下院(国民議会)を解散、総選挙に動き出した時から、多くの家庭で政治が話題にあがるようになった。しかしながら子どもたちとも政治の話をすべきなのか、そもそもどんなふうに話せばいいのか、偏らずに話すにはどうしたらいいのか、悩む親は多い。

クレア・ルコントは、子どもと政治の話をすることは大切だと言う。ただし小学校低学年までの幼い子供が何も質問してこない場合、あえて話題を振る必要はない。もちろん、各政党の公約や政治史の話をする必要はない。「日々の生活で子どもたちが目にする事柄に関連づけて、この話題に触れれば十分です。たとえば、特定の商品の値上げを決めるのは財務大臣で、それは国庫に入るお金を増やすためだと説明するとか」とクレア・ルコントは提案する。

ジャーナリストから児童文学作家になったソフィー・ラムルーは、ワークショップや数々の著書(『Comment parler de politique aux enfants(子どもに政治をどう語ればいいのか)』、『La grande odyssée de la démocratie(民主主義の大冒険)』、『La politique à petits pas(政治を少しずつ)』)を通じて子どもと政治というテーマに取り組んでいる。「子どもたちが日常で抱く疑問を出発点にします。どうして決定権を他人に委ねてはダメなのか、なぜ貧富の差というものがあるのか、といった疑問です。政治や法律はゲームにおけるルールのようなもので、ズルをする人がいるとうまく回らないと説明してもいいでしょう。学校で食べる給食も政治が関わっており、やっていいことと悪いことを決めるのも政治なのです」

子ども雑誌や児童書を題材に親子で話をするのも一案だ。「人間の歴史は繰り返しているという視点もいいでしょう。古代ギリシャ・ローマ時代から、どのような社会システムが最良なのか、人間は問い続けているのです」とソフィー・ラムルーは言う。

親とて常に答えを持っているわけではない。だから親子で一緒に調べて答えを探してもいい。例えば世界各国の政治の仕組みを一緒に調べてはどうだろう。ソフィー・ラムルーはさらに、「特定のテーマについて賛成派、反対派の意見を調べ、親子で話し合ってもいいですね。大切なのは話し合いを通じて自分の意見を持つことで、何が正しいかを決めることではありません」と言う。