考察『光る君へ』25話 まひろ(吉高由里子)を娶ったとわざわざ報告する宣孝(佐々木蔵之介)、動揺を隠せない道長(柄本佑)
越前和紙の製法や地方政治、宣孝の誘いなどが描かれる中、まひろは都に帰るか悩んでいる。
為時は紙の搾取を戒めるが、その違法性について考えさせられる。
為時の勧めで宣孝を思い出したまひろは、都に帰ることを考えるが、不安もある。
大河ドラマ『光る君へ』 (NHK/日曜夜8:00~)。舞台は平安時代、主人公は『源氏物語」の作者・紫式部。1000年前を生きた女性の手によって光る君=光源氏の物語はどう紡がれていったのか。25話「決意」で、まひろ(のちの紫式部/吉高由里子)は宣孝(佐々木蔵之介)と結ばれます。一方、道長(柄本佑)は、一条帝(塩野瑛久)に政治的駆け引きを仕掛けて……ドラマを愛するつぶやき人・ぬえさんと、絵師・南天さんが各話を毎週考察する大好評連載25回です。
越前の冬。越前和紙の昔ながらの製法が映し出される。昔も今も、越前和紙は高級品だ。
租税として朝廷に納められる以上の紙が届いているのに気づいた為時(岸谷五朗)……今まではその分を国守が受け取っていたらしい。
ただ、これは違法行為とは言い難い。国守は決められた分の租税を徴収して朝廷に納めていれば、あとは自分の裁量で儲けてもよいという仕組みだったからだ。
だからこそみな、豊かな大国(経済力などを基に四等級に分けた行政区分のひとつ。)の国守になりたがるのだ。
懐に入れられる筈の紙を返すだなんて、さすが為時。しかし村長に拒否される。
村長「4年で都に帰る国守様にはおわかりになりますまい」
高級品を折角作っても流通ルートが確保できない民たちは、都と直接繋がりのある役人にすがるしかない。そして、いくら為時が搾取を戒めても、次の国守がそうしてくれるとは限らない。しかもこれまで彼らから搾り取ることが当たり前だった人間たちから復讐されるかもしれない。そのとき民を守ってくれる為時はいないのだ。
地方政治も、中央政治と同じく難しい……。
大宰府で筑前守として相当うまくやっていたであろう宣孝(佐々木蔵之介)を思い浮かべ、為時はまひろ(吉高由里子)に都に帰るよう促す。
まひろ「こんなに筆まめな方とは知りませんでした」
為時「そこまでするのは宣孝殿が本気だということであろう」
ん。待って。女にまめな男の本気と、真面目で堅物な為時の考える本気って、別ベクトルのものじゃありません? と、少々心配になる。が、
「宣孝殿には妻がおるし、妾も何人もおる」
「お前は潔癖ゆえ、そのことで傷つかぬよう心構えはしておけよ」
一応そういった危惧はしてるんですね父上。ちょっと安心。そして確かめてみよと、彼を受け入れるかどうかは娘に任せるんですね。懐が深い。
「私は誰を思って都に帰るのだろう」
初めて誰かの妻……妾になろうとする、まひろの心は小さく波立つ。