「会社のカネ」で出世したい…職場復帰後「マタハラ」を訴えた“モンスター社員”の「仰天行動」残業は断固拒否、仕事も手伝わない

AI要約

労務相談やハラスメント対応を主力業務として扱っている社労士である私が、労務顧問として社労士として企業の皆様から受ける相談は多岐にわたります。

経済や社会情勢の変化によって労働問題やハラスメントの捉え方も変わり、「明らかにアウト」「明らかにセーフ」といった線が引きにくい時代になりました。

社労士としてグレーゾーンの問題を取り扱ってきた経験では、こうした問題に対処するには労働法だけではなく、マネジメントや人事制度など幅広い知識が必要になります。

エリア最大手の建設会社Y社に勤務していたワーキングマザー・Aさん(30代・女性)は、社内のMBA取得に関する制度利用に手上げしたところ、社内から顰蹙を買うことになりました。

リスキリングを積極的に推奨する企業においてなぜAさんが非難の対象になったのか、マタハラとは何かを考えさせられるこの事例を紹介したいと思います。

Aさんは新卒でY社に入社し、現在社歴10年目の社員です。Aさんは営業部でキャリアをスタートさせ、民間工事のチームに配属されました。

Aさんの転機になったのは初めての子育てです。Aさんにとって子育ては想像以上に過酷なものでした。数時間おきの授乳やおむつ替えに疲弊し、思うように自分の睡眠も取れない状況が続くなか、Aさんは一つの決断をします。それは、フルタイムで復帰するのではなく時短勤務で復帰するということでした。

でも、キャリアもあきらめたくないーーー復帰時面談でその意向を伝えると、Y社はAさんに時短勤務だからといってキャリアが積めないわけではないと社内で育児と仕事を両立させている例をいくつか紹介します。

「会社のカネ」で出世したい…職場復帰後「マタハラ」を訴えた“モンスター社員”の「仰天行動」残業は断固拒否、仕事も手伝わない

 労務相談やハラスメント対応を主力業務として扱っている社労士である私が、労務顧問として社労士として企業の皆様から受ける相談は多岐にわたります。

 経済や社会情勢の変化によって労働問題やハラスメントの捉え方も変わり、「明らかにアウト」「明らかにセーフ」といった線が引きにくい時代になりました。

 社労士としてグレーゾーンの問題を取り扱ってきた経験では、こうした問題に対処するには労働法だけではなく、マネジメントや人事制度など幅広い知識が必要になります。

 エリア最大手の建設会社Y社に勤務していたワーキングマザー・Aさん(30代・女性)は、社内のMBA取得に関する制度利用に手上げしたところ、社内から顰蹙を買うことになりました。

 リスキリングを積極的に推奨する企業においてなぜAさんが非難の対象になったのか、マタハラとは何かを考えさせられるこの事例を紹介したいと思います。

 Aさんは新卒でY社に入社し、現在社歴10年目の社員です。Aさんは営業部でキャリアをスタートさせ、民間工事のチームに配属されました。

 Aさんのチームは収益物件の招致を目的としており、エリアのリサーチや収益性のシュミレーションを担当しています。残業は比較的多く、対外的にタフな交渉も行う時もありますが、やりがいも大きくAさんは充実した時間を過ごしていると感じていました。

 そんなAさんの転機になったのは初めての子育てです。Aさんにとって子育ては想像以上に過酷なものでした。数時間おきの授乳やおむつ替えに疲弊し、思うように自分の睡眠も取れない状況が続くなか、Aさんは一つの決断をします。それは、フルタイムで復帰するのではなく時短勤務で復帰するということでした。

 でも、キャリアもあきらめたくないーーー復帰時面談でその意向を伝えると、Y社はAさんに時短勤務だからといってキャリアが積めないわけではないと社内で育児と仕事を両立させている例をいくつか紹介します。

 彼女たちをロールモデルにして頑張ってほしいと背中を押され、Aさんは原職に復帰することになったのです。

 しかし、復帰後しばらくして、人事部にはAさんに関する苦情がいくつか寄せられるようになりました。具体的には、「Aさんに注意したいが、マタハラにあたるのか」というような相談です。人事部が営業部長に確認すると、以下のような状況があることが分かりました。

 ・任せた仕事の納期を守れない。しかもそれを悪びれない様子である。

 ・遅刻早退、急な欠勤が多い。子どもが小さいならば致し方ないところもあるが、他の子育て中の社員よりその頻度が明らかに多い。

 ・少し余裕がありそうな時でも他人の仕事を手伝おうとしない。

 ・残業は絶対にしない。納期がタイトなため残業するよう伝えても保育園への送迎を理由に断られる。

 ・規模の大きな案件に関わりたがり、地道な仕事や補佐的な仕事を軽んじる。

 営業部には他にもワーキングマザーがいるのですが、彼女たちからもAさんは完全に浮いてしまっている状況だったそうです。

 課長や先輩社員がAさんの仕事ぶりをいさめても反省はなく、かえって「それはマタハラではないのですか」と言い返してくる始末で、営業部ではAさんを持て余し気味になっているのが現状でした。

 ところでY社は社員教育にも力を入れており、毎年1~2名程度をビジネススクールへ企業派遣しています。企業派遣にも様々な方法がありますが、Y社の場合はいわゆるパートタイムMBAの学費について一定の勤続年数を要件に全額会社が負担するという制度を採用しています。

 業務との両立が求められるのでハードスケジュールにはなりますが、Y社ではこの制度を利用した者を幹部候補として登用することが慣例になっており、毎年少なくはない人数が応募してきます。

 この社内公募のエントリーにAさんの名前があったのですが、選考の結果、Aさんは選外になりました。Aさんはそれを不服と感じ、「育児中であることを理由に落選したのではないか」と社内ハラスメント相談窓口に申し入れてきたのです。

 つづく、<大手建設会社で起こった…ワーキングママが職場復帰後で訴えた「マタハラ」に周囲がドン引きしたワケ>では、Aさんの主張に対する会社側の対応策を明かします。