京都「芸術の美に触れる展覧会」七宝、かんざし、蒔絵…思わず見とれる夏の展示3選

AI要約

岡崎智予が収集した300点の櫛やかんざしを公開する展覧会が開催中。

展示されている装身具は、様々な美しい日本の伝統工芸品。

際立つ蒔絵や金工の作品を含む展示が魅力。

清水三年坂美術館では、加賀蒔絵と京蒔絵の展示を行っている。

幕末から明治時代の作品を通じて、蒔絵の美しさを堪能できる。

作品は漆と金粉、銀粉で装飾され、気品が漂う。

京都「芸術の美に触れる展覧会」七宝、かんざし、蒔絵…思わず見とれる夏の展示3選

長い年月をかけて大切にされている京都の美意識は、芸術に対しても共通しています。七宝や蒔絵、髪飾りは見ているだけでも美しく、多くの人に愛されてきました。美へのこだわりが一堂に会する、夏の展覧会を紹介します。

1924年、京都・祇園に生まれて芸妓となり、東京に拠点を移してからは料亭の女将として活躍した岡崎智予(ちよ)。40年以上かけて3000点以上もの櫛やかんざしを収集してきました。その中から、厳選された300点を公開する展覧会「澤乃井櫛かんざし美術館所蔵 ときめきの髪飾り―おしゃれアイテムの技と美―」が細見美術館にて行われています。

同展で紹介される装身具は、1998(平成10)年に小澤酒造の名誉会長・小澤恒夫が東京に創設した「澤乃井櫛かんざし美術館」が所蔵する一部。

櫛やかんざしをはじめ、現在の化粧ポーチの役割を担う「筥迫(はこせこ)」や印籠、日本髪の模型などが展示されています。尾形光琳(こうりん)由来の「光琳模様」が描かれた《鷺蒔絵櫛 (さぎまきえぐし)「法橋光琳(印)」銘》をはじめ、桜や梅といった季節の花々を表した櫛など、小さな装身具に美の世界が広がっています。

歩くと飾りが揺れて微かな音を奏でる「びらびら簪(かんざし)」は、江戸後期に振袖姿の若い女性に人気を得たアイテム。黒色の日本髪に映える髪飾りは、見ているだけでときめきを与えてくれます。

「澤乃井櫛かんざし美術館所蔵 ときめきの髪飾り―おしゃれアイテムの技と美―」

会場/細見美術館 京都市左京区岡崎最勝寺町6-3

会期/~2024年8月4日

開館時間/10時~17時

休館日/月曜(祝日の場合、翌火曜)

入館料/一般1,800円、学生1,200円

蒔絵や金工、漆工、刺繍絵画などを常設展示する美術館として、2000年に開館した清水三年坂美術館。企画展として「加賀蒔絵と京蒔絵」を開催中です。蒔絵が最も発展した幕末から明治時代にかけた作品を展示しています。

漆で文様を描き、その上に金粉や銀粉を蒔いて装飾する蒔絵。京蒔絵とその流れを汲み独自に発展した加賀蒔絵は、ともに気品ある作品です。京蒔絵を代表する富田幸七の作品ほか、迎田秋悦(こうだしゅうえつ)の《忍草蒔絵重硯箱》は黒の塗地に金粉を繊細にぼかして蒔き、遠近感を表現しながら忍草(しのぶぐさ)の茂る様子が表現されています。