3代の天皇と英王室、痛み乗り越える「和解のプロセス」 両陛下、22日からご訪英

AI要約

天皇陛下と皇后さまが英国を公式訪問する際、日英間の国賓往来の歴史や和解の重要性が取り上げられた。

過去の天皇が英国を訪れた際には、戦争の記憶や実際の反日感情が現れ、複雑な関係性が明らかになった。

3世代目となる今回の訪英では、現在の天皇がどのような関係を築いていくのかが注目されている。

3代の天皇と英王室、痛み乗り越える「和解のプロセス」 両陛下、22日からご訪英

天皇陛下は22日から、皇后さまとともに英国を公式訪問される。在位中の天皇の国賓としての訪英は昭和天皇、上皇さまに続き、3世代目。戦後、皇室と英王室の関係性の中で実現した日英間の国賓往来は、先の大戦のわだかまりを解きほぐす和解のプロセスでもあった。戦後生まれの陛下が今後、英王室とどのような関係を築かれていくのかが注目される。

■現実に向き合う

「両国民間の関係が常に平和であり友好的であったとは偽り申すことができません」

昭和46年、初めて天皇として訪英した昭和天皇を前に、英女王エリザベス2世は晩餐会(ばんさんかい)で、先の大戦に明確に言及した上で和解の道を示した。一方、昭和天皇は日本が英国から多くを学んだことなどを強調しつつも、戦争には触れなかった。

女王の言及の背景には、旧日本軍による英国人捕虜問題などで色濃く残る反日感情があった。バッキンガム宮殿に向かう昭和天皇の馬車列には沿道からコートが投げつけられ、昭和天皇が王立キュー植物園に植樹したスギは切り倒された。

《戦果ててみそとせ近きになほうらむ人あるをわれはおもひかなしむ》

当時の昭和天皇の御製(ぎょせい)には、こうした現実に対峙(たいじ)した複雑な心境がにじむ。4年後、女王を日本に迎えた昭和天皇は晩餐会で、両国の関係には「大きな試練」があったと戦争に言及した。

■半世紀かけて

昭和天皇に先がけ、皇太子として年齢の近い女王と関係を築かれてきたのが上皇さまだった。昭和28年、女王の戴冠式(たいかんしき)にご参列。平成10年には、初めて国賓として訪英された。この際も馬車列に背を向ける抗議活動があったが、上皇さまはありのまま受け止め、女王とともに前へと進まれた。

女王は晩餐会で、戦争の記憶は「今日も私たちの胸を刺す」としつつも、日英は「新しい形で深い友情を築き上げてきました」とスピーチ。上皇さまは「戦争により人々の受けた傷を思う時、深い心の痛みを覚えます」と率直に語られた。

■継承の先に