未完の大器「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス」13年目の“序章” 満身創痍での新作発表の理由

AI要約

「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(CHILDREN OF THE DISCORDANCE)」は6月6日、2025年春夏コレクションを海外のファッション・ウイーク開幕前という異例の早さで披露した。ショー会場は東京・白金台の郷土歴史館で、夜9時という遅い時間のスタートながら、DJみんなのきもちのBGMと共にスタートする頃には200人を超えるゲストが集まった。

“異例の早さ”を実現するのは簡単ではなかった。ショー本番2時間前でも会場に志鎌英明デザイナーの姿はなく、アトリエでボタンやパーツを縫い付ける作業がギリギリまで続いた。アトリエからサンプルを持参し会場に走るスタッフ、眠そうな目をこするスタッフ、遠くの一点を見続けるスタッフ――チームは満身創痍だった。3日間寝ていないというデザイナーは「こんな大変な経験は二度としたくない」と漏らしている。しかし、「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス」には無理を押してでもショーを開催する必要があった。

“足して盛る”を“引いて際立たせる”へ

未完の大器「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス」13年目の“序章” 満身創痍での新作発表の理由

「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(CHILDREN OF THE DISCORDANCE)」は6月6日、2025年春夏コレクションを海外のファッション・ウイーク開幕前という異例の早さで披露した。ショー会場は東京・白金台の郷土歴史館で、夜9時という遅い時間のスタートながら、DJみんなのきもちのBGMと共にスタートする頃には200人を超えるゲストが集まった。

“異例の早さ”を実現するのは簡単ではなかった。ショー本番2時間前でも会場に志鎌英明デザイナーの姿はなく、アトリエでボタンやパーツを縫い付ける作業がギリギリまで続いた。アトリエからサンプルを持参し会場に走るスタッフ、眠そうな目をこするスタッフ、遠くの一点を見続けるスタッフ――チームは満身創痍だった。3日間寝ていないというデザイナーは「こんな大変な経験は二度としたくない」と漏らしている。しかし、「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス」には無理を押してでもショーを開催する必要があった。

“足して盛る”を“引いて際立たせる”へ

コレクションテーマは“ナッシング・ユージュアル”で、志鎌デザイナーの「当たり前をシンプルに出したかった。僕たちが普段何を考えているのか、どういった服や音楽、カルチャーに興味を持っているのかを、会場や演出を含めて伝えたかった」。ファーストルックは、「ジョンドウ(JOHNDOE)」とコラボレーションしたヘッドピースに視線が集まる。複数のビンテージTシャツが不均衡に重なり、内側から覗く鋭い視線が前方を見据える。一見すると無地のスリーブレストップスと七分丈パンツには、多彩なフォントの“DICORDANCE”の文字を同色で全面に敷き詰めた。続くジャケットには代名詞のバンダナ生地をパッチワークし、グリーンやパープルは深みのあるトーンで統一して、品の良さを意識する。

真っ白なメディカルシャツの全面にはレタリングを施し、「アヴィレックス(AVIREX)」とのコンパクトなMA-1は背中を複数のメタルパーツで装飾した。スポーティーなジャケットは、背中を左右に横断するファスナーの開閉でシルエットが変化し、袖口にスタッズを打ち込んだパンクなライダースには強いグラフィックのパッチを複数付けた。スタイリングのアクセントに使ったロングシャツには、細かい刺しゅうで凹凸を付け、繊細な柄を浮き上がらせる。アメカジやミリタリー、パンク、スポーツをベースにしたメンズの定番アイテムにカルチャータッチの装飾を加え、スケートライクなバギーショーツがブランドらしい自由なミックス感を演出した。