灘高と甲南女子大がコラボした「性教育」講座後に起きた「バカとエロの大縄跳び」の背景

AI要約

NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』、45話では視聴率が18%を超え、『カムカムエヴリバディ』以来の高視聴率が期待されている。本作は女性で初めて裁判官となった三淵嘉子さんをモデルにしたドラマ。法科大学に「女子部」が設けられながらも魔女扱いされたり、「女子」の学ぶ場所が限定されていた過去のことが、“現代”と変わらないという意見も出ている。「男子校」「男子だけの学び」を、保守的な家父長制の象徴のように感じる人もいるのではないか。

では「男子校」は男女差別的な世の中の空気をつくり出す諸悪の根源なのだろうか? 

そんな疑問に対し、「性教育」を柱にして男子校の分析をし、男子校の今を伝えつつ、今の教育に必要なことを伝えるのが、教育ジャーナリスト・おおたとしまささんの『男子校の性教育2.0』(中公新書ラクレ)だ。「男子校」の歴史を振り返り、男女差別や中学受験ブーム、東大の男女比率や少子化についての分析もしながら、webメディアで連載してきた、長く取材してきた男子校での性教育の現場を伝えている。「ジェンダーと教育」について深く考えさせられる。

灘高と甲南女子大がコラボした「性教育」講座後に起きた「バカとエロの大縄跳び」の背景

 NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』、45話では視聴率が18%を超え、『カムカムエヴリバディ』以来の高視聴率が期待されている。本作は女性で初めて裁判官となった三淵嘉子さんをモデルにしたドラマ。法科大学に「女子部」が設けられながらも魔女扱いされたり、「女子」の学ぶ場所が限定されていた過去のことが、“現代”と変わらないという意見も出ている。「男子校」「男子だけの学び」を、保守的な家父長制の象徴のように感じる人もいるのではないか。

 では「男子校」は男女差別的な世の中の空気をつくり出す諸悪の根源なのだろうか? 

 そんな疑問に対し、「性教育」を柱にして男子校の分析をし、男子校の今を伝えつつ、今の教育に必要なことを伝えるのが、教育ジャーナリスト・おおたとしまささんの『男子校の性教育2.0』(中公新書ラクレ)だ。「男子校」の歴史を振り返り、男女差別や中学受験ブーム、東大の男女比率や少子化についての分析もしながら、webメディアで連載してきた、長く取材してきた男子校での性教育の現場を伝えている。「ジェンダーと教育」について深く考えさせられる。

 自身も麻布中学と高校を卒業し、これまで多くの男子校も女子校も共学校も取材し続けてきたからこそのルポから、SNSで大きな話題を呼んだ「性教育コラボ」についておおたさん自身による再編成にてお伝えする。

 6月7日に発売になった拙著『男子校の性教育2.0』(中公新書ラクレ)のための取材成果の一部を、書籍の出版に先立ってJBpress(ジェイビープレス)というウェブメディアに月刊連載してきました。

 紙幅の関係で書籍では割愛せざるをえない、生徒たちの生き生きとした表情や教室のムードをどこかで表現しておきたかったからです。

 そのなかでちょっとした事件が起こりました。灘の高校生と甲南女子大の学生が生理や性的同意についてディスカッションする授業の実況レポート記事がYahoo! に転載されると、コメント欄やSNSに大量の書き込みがついたのです。

 炎上とは違います。取り組みの意味を理解して評価する好意的なコメントが大半でした。しかし「男子校×女子大生×性教育」というキーワードに反応した一部のひとたちが、妄想大喜利のようなウケ狙いのコメントを書き連ねたのです。

 「これは灘高性、胸と股間が熱くなりすぎるのでは」

「なんというエロ漫画的展開」

「甲南女子大のお姉さんと性的同意できた?」

「灘校ではなく、女子大生のほうが発情してそう」

 ……と、こんな具合です。「バカとエロの大縄跳び」です。

 「バカとエロの大縄跳び」とは、ホモソーシャルな環境で、バカ話やエロネタで盛り上がり、その輪にうまく加われないと仲間に入れてもらえない状況のこと。作家の白岩玄氏による秀逸なたとえです。