暗号資産所得の分離課税は今年、実現するのか──米CoinDesk、日本の金融規制当局が「金融資産としての課税を検討」と伝える

AI要約

日本の金融規制当局が暗号資産を金融資産として課税することを検討している。業界団体からの要望を受け、金融庁は税制改正要望項目を発表した。

暗号資産に関する税制改正が進められており、所得税の改正に期待が寄せられているが、実現は難しいかもしれない。

米CoinDeskやCointelegraphが日本の暗号資産業界にとって好意的な情報を発信しており、2025年の改革で暗号資産の税率が引き下げられる可能性がある。

暗号資産所得の分離課税は今年、実現するのか──米CoinDesk、日本の金融規制当局が「金融資産としての課税を検討」と伝える

米CoinDeskは日本時間9月4日夜、「Japans Financial Regulator Mulls Taxing Crypto as Financial Asset」と記事を公開した。日本語に訳すと「日本の金融規制当局、暗号資産を金融資産として課税することを検討」となる。

暗号資産に関する所得は現在、最高55%課税される「雑所得」とされており、業界団体は長年、その見直しを求め、他の金融所得と同様の分離課税の適用を要望している。

日本ブロックチェーン協会(JBA)は7月19日、「暗号資産に関する税制改正要望」を、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は7月30日、「2025年度税制改正に関する要望書」を取りまとめ、関係省庁に提出している。

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こうした各業界団体や省庁からの要望を受けて、金融庁は8月30日、税制改正要望項目をとりまとめた「令和7(2025)年度 税制改正要望について」を発表した。

その中では主な要望項目として、「NISAの利便性向上等」「企業年金・個人年金制度の見直しに伴う税制上の所要の措置」「上場株式等の相続税に係る物納要件等の 見直し」に次いで、「金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)」があげられている。

暗号資産については、「金融所得課税の一体化」で、以下の一文において触れられている。

「なお、暗号資産取引に係る課税上の取扱いについては、暗号資産を国民の投資対象となるべき金融資産として取り扱うかなどの観点を踏まえ、検討を行っていく必要」

金融庁の資料では、確かに「金融所得課税の一体化」が挙げられているが、「要望事項」としては「金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大すること」と記されている。つまり、「一体化」の中に「暗号資産も含む」と読み取ることは、かなり拡大解釈のように思える。

暗号資産に係る所得について、最高55%の雑所得ではなく、20%の申告分離課税とすることは、個人投資家の暗号資産取引を促進し、市場を活性化させるために業界が熱望している。だが一昨年、昨年と2年連続で暗号資産に関わる税制改正が進んだこともあって、所得税の改正は「今年は難しいのではないか」との見方もある。

その状況での米CoinDeskの記事は、日本の暗号資産業界にとってはうれしい情報であることは間違いない(現時点では具体的な内容は米国編集部に確認できていない)。ちなみに、米Cointelegraphも同様の情報をXに投稿している。

🇯🇵 JUST IN: Japan’s FSA wants to align crypto tax rates with traditional financial assets.

The proposed 2025 reform could cut taxes on crypto profits from 55% to 20% and allow loss carryovers. pic.twitter.com/fz2gYrsw8V

— Cointelegraph (@Cointelegraph) September 4, 2024

最新ニュース: 日本の金融庁は、暗号資産の税率を従来の金融資産と一致させたいと考えている。

提案されている2025年の改革では、暗号資産の利益に対する税金が55%から20%に引き下げられ、損失の繰り越しが可能になる可能性がある。

なお、同じく4日朝には、国民民主党代表の玉木雄一郎氏が、暗号資産税制の見直しについてXに投稿している。

自民党総裁選挙で金融資産課税がテーマとなりそうとのことですが、日本の暗号資産に係る税制と規制の見直しも、ぜひ議論してもらいたいものです。…

— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) September 4, 2024

一部厳しい見方もあった分離課税の導入が今年、実現するのだろうか。

|文:増田隆幸|画像:Shutterstock