らしさを継承しながら先進性を体現した「レンジローバー イヴォークAUTOBIOGRAPHY P300e」

AI要約

1970年に登場した高級SUVのパイオニア「レンジローバー」。

2010年末に発表されたコンパクトな「イヴォーク」は世界中で人気を博す。

2024年モデルではプラグインハイブリッドが追加され、走行性や充電についても優れた性能を持っている。

らしさを継承しながら先進性を体現した「レンジローバー イヴォークAUTOBIOGRAPHY P300e」

ランドローバーの高級ブランドとして「レンジローバー」が登場したのが1970年のこと。

以来「レンジローバー」は高級SUVのパイオニアとして世界に君臨している。「イヴォーク」は2010年末に発表されたコンパクトな「レンジローバー」だ。

ボディーサイズは小さめだが、スポーティーな外観と、品質の高い内装を持つSUVは当時の市場にはなかったため、世界中で人気となった。

 現行モデルは2019年6月に登場した2代目だ。「レンジローバー」はこの時から「イヴォーク」を先進技術普及モデルとして位置付けた。そして同社初のマイルドハイブリッドモデルをシリーズに加えている。

2023年夏に発表になった2024年モデルでは、初のマイナーチェンジを実施。外観と内装を一新した。この時に外部充電も可能なプラグインハイブリッド(PHEV)を用意したのだ。

 直列3気筒1.5Lガソリンターボエンジンとモーターを組み合わせたパワーユニットは、1.5Lターボが最高出力200PS、モーターは109PS。電池容量は15kWhで、200Vの普通充電に対応している。システム上の性能は309PS、540Nmになる。駆動は4WD。リアはモーターがドライブする。

 2024年モデルは外観、内装が一新された。外観ではクーペのようなシルエットやロングルーフ。小さくてウエッジデザインのサイドウインドウという「イヴォーク」の特徴は残しつつ、フロントグリルとヘッドライトまわりのデザインを変更した。

内装では8速ATのシフトレバーを最新の「レンジローバー」ファミリーと同一にし、センターコンソールに配置していたスイッチ類は、センターパネルのインフォテイメント画面に統合した。

 試乗のために受け取った「イヴォーグ」は、電池の充電量が100%。モーターでの航続距離は51kmと表示されていた。走行モードは「ダイナミック」「コンフォート」「エコ」「オートテレインレスポンス」「オフロードモード」の5モード。

さらに電池での走行モードとして「HYBRID」「EV」「SAVE」のモードも選択する。「HYBRID」と「EV」は表示どおりだが、「SAVE」は電池の充電量を減らさず走行し、シフトレバーのSモードにすれば、わずかだが充電ができる。

 スタートはモーター。アクセルレスポンスも、リニアに反応し、加速も軽快だ。アクセルを強く踏みこまなければ、街中でエンジンが始動することはほとんどなかった。EV走行での電気の消費は、6kmほど走行して17%減、23km走行して47%減、37km走行して75%減というペースだった。

 遠出をせず、街中を走行しての37kmはかなり走ったことになる。この電気の減り方だと日常の足として、「イヴォーグPHEV」を運転している時は、ほとんどEV走行ですみそうだ。

 充電に関しても、47%減の時に200V(3kW)充電だと、2時間18分で満充電になった。75%減だと3時間30分で満充電と表示された。

 これも日常の使用では不便を感じないレベルだ。ちなみに充電は200Vのみ。急速充電(CHAdeMO)には対応していない。

 充電量が減ったり、Sモードで走り出すと1.5Lガソリンエンジンが始動する。エンジン始動での音や振動は、アイドリング時には感じるが、走り出してしまうと気にならないレベル。静粛性、耐振性能は高いといえる。

 エンジンで走り出し、0→100km/hの加速を計測してみると7秒台前半を記録した。コンパクトSUVとしては速い。この時、印象に残ったのは、3気筒1.5Lエンジンの吹き上がりのスムーズさ。

 アクセル・オンと同時に、一気に上昇し、エンジン回転計のレッドゾーン(6500回転)手前、6300回転まで伸びて、シフト・アップし、再び加速する。

後編では、さらなる走行性や居住性について紹介していく。

■関連情報

https://www.landrover.co.jp/range-rover/range-rover-evoque/explore.html

文/石川真禧照 撮影/萩原文博