「Windows Terminal 1.22」がプレビュー ~新しい基盤を導入した過去最大級の更新

AI要約

Microsoftは8月28日に「Windows Terminal Preview 1.22」を公開し、Sixel対応や新しいコンソールホスティング基盤が含まれた過去最大級のアップデートとなっている。

新機能としてSixel画像のサポートやUnicodeの書記素クラスターのサポート、スニペットペイン、CMDのクイックフィックスなどが盛り込まれている。

さらに、新しいホスティングサブシステムや様々な改善点があり、積極的なテスト参加が求められている。

「Windows Terminal 1.22」がプレビュー ~新しい基盤を導入した過去最大級の更新

 米Microsoftは8月28日(日本時間)、「Windows Terminal Preview 1.22」を公開した。「Sixel」への対応や新しいコンソールホスティング基盤が含まれており、過去最大級のアップデートとなっている。

■ Sixel画像のサポート

 「Sixels」はターミナルに画像を表示する仕組みおよびそのフォーマットの一つで、ターミナルで扱いやすいようにエスケープシーケンスで表現されている。かなり古くから存在し、DECが導入したターミナルやプリンターのグラフィックス処理で用いられていたという。

 「Windows Terminal」でSixelグラフィックスを表示するには、「libsixel」や「chafa」といったエンコードツールを導入することで、ターミナルの画面上(インライン)で画像の表示が可能。別のウィンドウを開かずとも画像を出力できる。

■ Unicodeの書記素クラスターのサポート

 ターミナルへ絵文字を入力すると、カーソルが数スペース分先に進んでしまったことはないだろうか。これはクマの顔「🐻」と雪の結晶「❄」を組み合わせて「ホッキョクグマ」を表現するといったタイプの文字(この場合はゼロ幅接合子)を認識できていないためだ。

 「Windows Terminal Preview 1.22」はこうした書記素クラスターにも対応しており、以前のような問題は起こらなくなっている。また、書記素クラスターをサポートしないUNIXベースのアプリケーションとの互換性を保つため、「wcswidth」ベースの文字幅測定値もサポートされているとのこと。

■ スニペットペイン

 「スニペット」は、利用頻度の高い定型文・コードの断片をあらかじめ登録しておき、テキスト入力時に呼び出して自動補完のように利用する機能で、多くのテキストエディターや統合開発環境(IDE)でサポートされている(テンプレートと呼ばれることもある)。

 「Windows Terminal」でも設定ファイル(settings.json)に記述しておくと、専用のサイドペインですばやく呼び出せるようになる。インラインで表示されるサジェストUI補完メニューからも利用可能だ。スニペットのカタログ「Commands.dev」から役立ちそうなものを選び、登録しておくとよいだろう。

■ CMDのクイックフィックス(Quick Fix)

 「コマンド プロンプト」でコマンドを実行したらコマンドが見つからなかった……という経験をしたユーザーは少なくないだろう。「PowerShell」であれば「Command Not Found」パッケージが足りないモジュールを提案してくれるが、「コマンド プロンプト」でも同じようなサポートがほしいことがある。

 そうしたケースに便利なのが、今回追加されたクイックフィックスだ。「Command Not Found」パッケージと同様、そのコマンドを実行するために必要なパッケージをインストールするための「winget」インストールコマンドが提案され、その場で実行できる。

 「コマンド プロンプト」に関しては、クックされた読み取り(Cooked Read)ポップアップのUIをモダナイズするなどの改善も行われている。

■ 新しいホスティングサブシステム

 「Windows Terminal Preview 1.22」には、従来のコンソールホスティングサブシステム(ConPTY v1)に代わる新しいコンソールホスティング基盤が含まれている。VTアプリケーションへの忠実性が改善されているだけでなく、VTの負荷が高い作業(SGR)におけるI/O速度が2倍、プレーンテキスト処理におけるI/O速度が最大16倍にまで高速化されているという。

 プレビュー版で実績を積むためにも積極的にテストへ参加し、問題があればフィードバックを送りたい。

■ 「Windows Terminal」(ターミナル)について

 「Windows Terminal」(ターミナル)は、Microsoftが主導でオープンソースとして開発しているターミナルアプリ(ライセンスは「MIT」)。DirectWrite/DirectXベースのテキストレンダリングエンジンやUTF-16/UTF-8両対応のテキストバッファーを備えたモダンな設計、レイアウトの柔軟性、プロファイルベースの高いカスタマイズ性などが特徴だ。現在、「GitHub」や「Microsoft Store」から無償でダウンロードできる。

 なお、同日付けで「Windows Terminal 1.21」が安定版となった。主な改善点は以下の通り。

・終了時に表示されていた画面をターミナルが記憶。必要に応じて復元できるように

・複数のアクティブフォントを指定(フォントのフォールバック)

・ボックスおよびライン描画グリフのレンダリング改善

・入力システム統合の書き換え

・スクロールバーマークがようやく正式版に

・検索するとマッチする箇所がすべてハイライトされるように

・古いテキストレンダリングエンジンを削除

 とくに入力システム(IME)統合の書き換えは日本語ユーザーにとっても歓迎すべきことだ。

ソフトウェア情報

「Windows Terminal Preview」・【著作権者】

Microsoft Corporation

・【対応OS】

Windows 10 バージョン 20H1以降

・【ソフト種別】

フリーソフト

・【バージョン】

1.22.2362.0(24/08/28)

「Windows Terminal」・【著作権者】

Microsoft Corporation

・【対応OS】

Windows 10 バージョン 20H1以降

・【ソフト種別】

フリーソフト

・【バージョン】

1.21.2361.0(24/08/28)