”本格派ならではの価値"を味わえる、フィルムカメラの新製品「PENTAX 17」が欲しいんです

AI要約

フィルムカメラの魅力として、撮影の体験や写真の風合いを楽しめる点が注目されている。

リコーの新製品「PENTAX 17」は、ハーフサイズフォーマットを採用したフィルムカメラで、レトロなデザインと操作性を兼ね備えている。

フィルムカメラの撮影、現像、およびランニングコストについて考察しながら、写真を撮る楽しみについて紹介している。

”本格派ならではの価値

現在、本格的なフィルムカメラはほとんど製造されておらず、トイカメラ的な製品か、数十年前に発売された中古品を購入するしかありません。リコーの「PENTAX 17」はレトロなデザインを踏襲しつつ、リコーイメージング/PENTAXのフィルムカメラ開発のノウハウを生かした新製品です。

 スマホで写真を撮るのが当たり前になっている時代に、フィルムカメラが注目されています。利便性よりも"写真を撮るという体験"に重きを置いている方が多いのかもしれません。しかし現在、本格的なフィルムカメラはほとんど製造されておらず、トイカメラ的な製品か、数十年前に発売された中古品を購入するしかありません。

 

 そのような状況のなか、リコーイメージングが発売したのが「PENTAX 17」。レトロなデザインを踏襲しつつ、リコーイメージング/PENTAXのフィルムカメラ開発のノウハウを生かした新製品です。今回は本製品の実機を借用したので、フィルムカメラでの撮影、現像、コストにもスポットを当ててレビューします。

 

■光学系は新設計、ハーフサイズフォーマットを採用したフィルムカメラ

 「PENTAX 17」はハーフサイズフォーマットを採用したフィルムカメラ。35ミリ判フィルム(36×24mm)の1コマの約半分(17×24mm)を使用するので、36枚撮りであれば72枚の撮影が可能となります。

 

 フィルムの巻き上げは、シャッターを切るたびに巻き上げる手動式。PENTAXのフィルム一眼レフの巻き上げ機構が継承されており、巻き上げ時の滑らかな感触や音を楽しめる設計となっています。なおフィルムの装填にはイージーローディング方式が採用。フィルムカメラ初心者にも失敗なくフィルムをセットできるよう配慮されています。

 

 光学系は新たに設計されており、新開発の焦点距離25mm(35mm判換算で約37mm相当)の単焦点レンズを搭載。1994年に発売された「PENTAXエスピオミニ」のレンズ光学系を元に、ハーフサイズフォーマット用に新規設計。「HDコーティング」が施され、クリアでシャープな描写を実現しているとうたわれています。

 

 本体サイズは127×78×52mm、重量は290g(フィルムと電池を除く)。電池は3Vリチウム電池(CR2)を使用。電池寿命はフラッシュ50%使用、36枚撮りフィルム使用時で約10本ぶんとされています。

 

■めちゃくちゃレトロな風合いの写真が撮れました

 それでは早速「PENTAX 17」で撮影した写真をご覧いただきましょう。詳しくは後述しますが、これらはカラーネガフィルム「FUJIFILM 400」で撮影した写真を現像し、データ化したものです。

 

 まず色味ですがなんともレトロな風合いですね。牧歌的な被写体が多かったということもありますが、令和の時代に撮影された写真とは思えません。スマホのカメラアプリにも色味を変更するフィルターがありますが、なにも手を加えずこのような風合いになっていることに、本物ならではの価値があると感じました。

 

 35ミリ判フィルム(36×24mm)の1コマの約半分(17×24mm)を使用するハーフサイズフォーマットのカメラということで、かなりボケた写真になるかと予想していましたが、フォーカスと露出さえ合っていれば鑑賞に堪える解像感を備えていると思います。

 

■使い勝手と、1枚あたりのコストは?

 使い勝手は基本的に文句なし。上面に設置されているダイヤル、レバーの操作感は良好。これらをいじりつつ撮影するのは、手間はかかりますが、なんとも楽しいです。特に設定がピタリとはまって、いい写真が撮れたときの喜びはひとしおですね。

 

 ひとつだけ慣れるのに時間がかかったのが、ゾーンフォーカスリングに記載されているアイコン。遠距離(5.1m~∞)、中距離(2.1~5.3m)、近距離(1.4m~2.2m)、至近距離(1.0~1.4m)、クローズアップ/テーブルフォト(0.47~0.54m)、クローズアップ/マクロ(0.24~0.26m)が用意されていますが、ちょっと覚えづらいです。結局、何度も説明書で確認しつつ、撮影していました。アイコンよりも数字を書いてくれたほうが個人的にはよかったです。

 

 「PENTAX 17」をぞんぶんに楽しむのにハードルとなるのがフィルムの現像。筆者はさいたま市に住んでいますが、最寄りで現像できるのはヨドバシカメラくらい。(ほんの1~2年前にはハーフサイズフォーマットのフィルムを1時間ぐらいで現像してくれるショップが近所にありましたが、そこは残念ながら閉店してしまいました。)

 

 現像した写真が受け取れたのは13日後で、現像代には2480円がかかりました。フィルム代が1800円だったので、72枚の写真を撮影するために4280円を要したわけです。1枚あたり59円。そう考えるとますます、1枚1枚、大事に写真を撮りたくなりますね。

 

 もし「PENTAX 17」に限らずフィルムカメラの購入を予定しているのであれば、ランニングコストや現像にかかる時間を踏まえて検討することをオススメいたします。

 

 というわけで完全に買いたくなっている私は、最終的に全くデジタルに興味の無い「妻」に、購入してもよいかを聞くことにしました。以下は妻とのやりとりを記しておきますので、家庭に報告が必要な迷えるガジェッター達の何かの参考になれば幸いです(参考にならないかもしれません)。

 

■妻へのプレゼンの記録

私 フィルムカメラの「PENTAX 17」を買いたくてね。

妻 こないだ使っていたカメラ? レトロで可愛いかったね。

私 いやー見た目だけじゃなくて、フィルムカメラならではの操作が楽しいんだよね。撮影した写真をすぐに見られない不便さも、あとから鑑賞するときの感動を盛り上げてくれるしね。

妻 ちょっとしたタイムカプセルを開けるような楽しさがあるってのは、わかるよ。

私 画質も思ったより良くってさ。これ見てよ。

妻 わー綺麗だね。映画のワンシーンみたい。でもボケた写真も結構あるね。

私 あー、うん、これは僕のせい。まだちょっと慣れていないからさ。でも写真の腕がそのまま出るからこそ、緊張感もあってすごく楽しいんだよ。

妻 私は簡単に撮れたほうがいいけど楽しいならいいんじゃない? そういえばフィルムってどこで売っているの?

私 ヨドバシとかAmazonで買えるよ!

妻 いくらくらいするんだっけ? 忘れちゃったな。

私 まぁそれは、フィルムを買うときにまたプレゼンするね。

妻 ふーん?

 

 

 

この記事を書いた人──ジャイアン鈴木

 EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始した。

 

文● ジャイアン鈴木 編集●こーのス/ASCII