【地面師たち】暗い話が苦手なのに夢中で完走してしまった“ネトフリならではの魅力“とは? 4週連続トップの怪作を全力でおすすめ

AI要約

Netflix配信ドラマ『地面師たち』は、実際に起きた詐欺事件をモデルにした群像劇で、悪人たちの行動を追いかけるストーリーが魅力的。

視聴者を引き込むテンポよい展開と、悪事を過剰に美化しない描写が苦手な人でも楽しめる要素を持っている。

衝撃的なシーンも多いが、悪と善を明確に区別して描かれた作品なので、余計なノイズにならずに楽しめる。

【地面師たち】暗い話が苦手なのに夢中で完走してしまった“ネトフリならではの魅力“とは? 4週連続トップの怪作を全力でおすすめ

綾野剛さんと豊川悦司さんがダブル主演を務めるNetflix配信ドラマ『地面師たち』。7月25日の配信から4週連続で日本トップ10の1位を獲得し続ける話題の作品です。

2017年に実際に起きた被害額約55億円の詐欺事件「積水ハウス地面師事件」をモデルとした同名の小説を原作としており、あくまでフィクションではありますが、「どうやって巨額の詐欺事件を起こすに至ったか」を追っていくストーリーになっています。

筆者はこういった「詐欺」や「暴力」など犯罪をメインにしたお話は苦手なのですが(かわいそうな気持ちになるので……)、評判の良さから試しに見てみると、一瞬で作品に心奪われ、一気に見終わってしまうほど夢中にさせられてしまいました。

この記事では、そんな『地面師たち』がなぜこんなに面白いと思ったのかをご紹介します。

「地面師」とは、他人の土地の所有者になりすまして売却を持ち掛け、偽造書類を使って多額の金銭をだまし取る詐欺師のことです。

同作では「詐欺師」「被害者」「関係者」「警察」など、さまざまな立場の人物が登場し、頻繁に視点が切り替わります。この“群像劇”と呼ばれるスタイルで、巨額の詐欺事件がどのように実現されたかを追っていくという内容になっています。

全7話構成で、1話平均はスタッフロールを除くと約45分。3カ月(1クール)で放送される地上波のドラマ13話と比べるとおよそ半分ほどのボリュームです。

狙いとなる土地、その土地を欲しがる企業(被害者)の選定など、地面師たちがどうやって大企業を相手に数十億円以上の詐欺を成功させたのか……そのロジックが丁寧かつ異常なテンポで積み重なっていくのです。

次の展開が気になってしょうがない、視聴をやめられない状態がずっと続く面白さは、放送枠に縛られることのない、Netflixならでは構成によって実現したものだと感じました。

詐欺という身近に被害者のいる犯罪行為、暴力、パワハラや性的な描写など、目を覆いたくなるような過激なシーンが数多く登場する同作ですが、こういった作風が苦手な筆者でもほとんど不快感なく完走することができました。

おそらくそれは、登場人物を過剰に美化しないからなのではないかと思います。

詐欺集団である「地面師」たちは最初から最後まで利益や快感のために他人を陥れることを躊躇しない「悪人」として徹底的に描写されており、義賊(貧しい人のために権力者から金を盗む泥棒)のように何か理由があって仕方なく詐欺の片棒を担いでいるといった描写はほぼありません。

この作品では終始、悪い奴らが悪いことをしています。“善悪”など答えが出にくい事を考える余地はなく、視聴者は淡々と詐欺の全貌について考えることができるのです。そんなところがノイズにならなくて気にならなかったのかもしれないと感じました。

(筆者的にはあまりドキドキせずに見れたのですが、血なまぐさいシーンやショッキングなシーンは多く存在しますので、苦手な方はご注意ください!)