暑くなりすぎたパリで開催されたオリンピック。4年後のLAはどうなる?

AI要約

パリオリンピックが盛況のうちに閉幕し、暑さが話題となった。

気温の上昇が100年前と比較して3度も増加し、気象現象への影響も指摘されている。

気候変動の影響下でアスリートの健康に影響し、暑さがスポーツの存続にとって脅威となる可能性がある。

暑くなりすぎたパリで開催されたオリンピック。4年後のLAはどうなる?

盛況のうちに閉幕したパリオリンピック。2021年の東京に続いて「暑さ」が話題になりました。

いったいどれくらい暑かったのかを振り返り、これからの夏季オリンピックはどうなっていくのかを展望してみましょう。

前回、パリで夏季オリンピックが開催されたのは、100年前の1924年でした。非営利の気候研究団体クライメート・セントラルによると、1世紀たったパリは、前回開催時と比較して気温が3.06度上昇していたそうですよ。3度はキツい…。

日最高気温が30度以上に達する日は、1924年から1933年の10年の合計で69日だったのに対して、2014年から2023年の10年では3倍近い188日まで増加しています。日最低気温が20度以上に達した日数は、1924年から1933年の10年間の4日から、2014年から2023年の10年間では84日と、21倍も増えています。

また、極端な気象現象への気候変動の影響について分析・発表している国際気候研究組織World Weather Attributionは、人為的な気候変動の影響がなければ、この暑さにはなり得なかったと指摘しています。クライメート・セントラルと同じく、気候変動によって気温が3度上昇したと考えられるそうです。

分析に参加した気候科学者フリーデリケ・オットー氏は、

世界は35度の暑さの中で汗だくになるアスリートたちを目撃しています。もしも大気が化石燃料の燃焼による温室効果ガスで汚染されていなければ、パリは約3度涼しく、スポーツにとってはるかに安全な場所になっていたはずです。

とコメントしていますよ。

オリンピック開催前に非営利団体British Association for Sustainable Sportが発表した報告書の中で、世界陸連のセバスチャン・コー会長が気候変動のアスリートへの影響について以下のように記しています。

アスリートにとって、睡眠障害や競技直前のスケジュール変更といった小さな問題から、健康状態の悪化、熱ストレス、故障に至るまで、暑さの影響は多岐に渡ります。世界の気温が上昇を続ける中、気候変動はますますスポーツの存続にとって脅威と考えられるようになってきています。

同報告書では、2019年のドーハ世界選手権の50km競歩で金メダルを獲得したものの、2021年の東京オリンピック出場を辞退した鈴木雄介選手が、ドーハの世界選手権で競技中に脱水症状や熱中症の症状があったと話しています。その後、東京オリンピックに向けてトレーニングを再開するも、一向に状態が回復せず、出場辞退につながったといいます。

そして、「もしもドーハの世界選手権で途中棄権を選択していれば、その後の競技人生は違うものになっていたかもしれない」とし、若い選手たちには自身と同じ経験をしてほしくないと鈴木選手は述べています。