テコの原理でしっかりつかめる!KNIPEXのプライヤーレンチが小さくても快適な理由

AI要約

日常の作業に便利なKNIPEXのプライヤーレンチ「ミニ・プライヤーレンチ 86 03 125」を紹介。

歯のない平らなくわえ部でボルトやナットを傷つけずにつかめる。

スライドで幅調整がしやすく、テコの原理で強力に挟み込める。

テコの原理でしっかりつかめる!KNIPEXのプライヤーレンチが小さくても快適な理由

セットで揃えるには無駄が多いし、かといって、モンキーレンチはいまいち信用できない……。そんな人にオススメしたいのが、KNIPEXのプライヤーレンチです。中でもコンパクトな(かわいい)、「ミニ・プライヤーレンチ 86 03 125」を試してみました。

 車やバイク、自転車はもちろん、模型用のエンジン、ラジコン、基板のスペーサーなど、ボルトやナットが使われている機器は多数あります。厄介なのは、同じ機器でも複数サイズのボルトやナットが使われていること。これは、使用する場所によって必要な締め付けの強さ、強度などが違ってくるためです。

 

 こういった機器を分解/組み立てるのであれば、使うレンチも必要なサイズぶんだけ用意しなくてはなりません。1つずつ揃えるのは大変ですから、よく使うサイズがひと通り揃った、セット工具を購入している人も多いでしょう。

 

 使いたいサイズをすぐ手に取れるというのがセットの魅力ですが、しばらくすると「このサイズ使ってないよな」といったことに気づきます。

 

 また、よく使うサイズだけ取り出しやすい場所に置いた結果、使わないサイズが棚の奥の方で肥やしになっている、なんてことも。そしていざ使う番が来た時には、どこに置いたかわからなくなっていたりもします。

 

少ない工具で確実につかめる工具

 1つの工具で多数のサイズに対応させたいなら、サイズ可変なモンキーレンチを選ぶのもアリです。ただし、構造上どうしても遊びが出てしまうため、ガッチリつかめません。遊びが大きいとボルトの角に力が集中し、角が凹んで空回りする可能性もあります。また、先端が厚いことが多いので、小さいボルトやナットには不向きです。

 

 セットで揃えるには無駄が多いし、かといって、モンキーレンチはいまいち信用できない。そんな人にオススメしたいのが、KNIPEXのプライヤーレンチです。中でもコンパクトな、「ミニ・プライヤーレンチ 86 03 125」(実売価格8110円)を借りて試してみました。

 

見た目はまるでプライヤー

 パッと見は普通のプライヤーと同じに見えますが、よく見ていくと全く別物。まず気づくのが、くわえ部が平らで歯がないことです。

 

 歯がないということは、滑りやすいということ。そのため、管状のものや板をつかむのには向いていません。その代わり、つかむ対象を傷付けないため、ボルトやナットに向いているといえるでしょう。

 

 また、小型モデルということもあって、先端は約3mmとかなり薄め。このおかげで、とくに小さな対象がつかみやすくなっています。

 

 特徴的なのが、開き幅の調整するスライド機構。中央のボタンを押しながらスライドさせる方法で、全11段階で調整できます。一般的なプライヤーだと穴をずらすだけの2段階ですから、全く違いますね。

 

 また、開閉部のギミックも特殊。くわえ部とハンドルは直結しておらず、カムのような構造で開閉するようになっています。これにより、軽く握っただけでも強い力でしっかりつかめるわけです。

 

 もうひとつ、ハンドルと別部品とすることで、くわえ部が常に平行のまま動くのもいいところ。つまり、ハンドルの開き角に関係なく常に平行になるため、ボルトやナットがズレたり、滑ったりすることがありません。

 

 この平行だという特徴を活かし、曲がった針金の先を伸ばす、なんてこともできそうです。

 

空回りさせずに両側から締める!

 プライヤーレンチはくわえ部が平行で、ボルトやナットを2つの面で挟めるというのが強み。さらに、テコの原理で強力に挟み込むため、どちら方向へ回してもすっぽ抜けにくく、空回りしにくい作りになっています。

 

 では、一度挟むと外しにくいかというとこんなことはありません。先端の開きはグリップの開閉に合わせ約4mmくらい動くため、簡単に外せます。慣れてくると、グリップの握り方でワザと空回りさせることもできるようになるので、繰り返し回すことも素早くできるようになります。

 

 さすがにレンチのように、挟んだまま手や指先でぐるぐる回すのは無理ですが、最後の締め付けや、最初に緩める時なんかにはかなり便利に使えます。

 

 個人的に「コレだ!」と思ったのは、空回りしないように裏のナットを押さえる用途。裏側は見えないので、遊びがあるレンチだといつの間にか外れちゃってたりするんですよね。とくに小さいナットは、ちょっとレンチを動かすだけで外れてしまいます。

 

 その点プライヤーレンチは、グリップを握っていれば遊びはなし。小さいナットも外れる心配なしに回せるので、しっかり締められます。

 

これ1つあれば、サイズ違いのレンチがいらなくなる!?

 プライヤーレンチは、サイズの合うレンチを引っ張り出す必要も、セットで揃えておく必要もなくなるのがいいところ。ボルトやナットごとに工具を持ち替えなくていいため、作業によってはかなり楽になるでしょう。

 

 もちろん、ラチェットハンドルとソケットレンチの組み合わせは素早く回すのに便利ですし、安価なコンビネーションレンチのセットは、力をかけやすいという点で優れています。

 

 用途によっては既存のレンチのほうが便利な場合もあるので、全てを置き換えるというのは難しいところ。そこで、まずはモンキーレンチの置き換えから考えてみてはいかがでしょうか。遊びがなくしっかりつかめるぶん、プライヤーレンチの方が便利ですから。

 

 今回はコンパクトなモデルを試しましたが、全長が長いもの、先端が8mmと分厚いのも、くわえ部が大きく開くものなど、複数のモデルがあります。価格が価格なので気軽には買えませんが、よく使うサイズを吟味し、まずは1本手に入れたいですね。

 

●お気に入りポイント●

 

・スライドで幅調整がしやすい

 

・テコの原理でしっかりつかめる

 

・くわえ部が平行に動いて遊びがない

 

この記事を書いた人──宮里圭介

 PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。

 

文● 宮里圭介 編集●こーのス